シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

49.国際連合の発足とGHQによる占領統治

日本は連合国に占領された。アメリカ軍による間接統治がはじまった。占領による光の部分では、アメリカ本国を上回る民主化が進められた。憲法では当時の状況をふまえた理想が反映される。影の部分では、軍事的に封じ込めるための弱体化戦略がとられた。次の流れでみていく。
国際連合の発足
・国連の目的
・国連の主要機関
・国連の「英語名」が意味すること
・連合国による日本の占領統治
民主化政策
WGIPウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム
・日本の問題点

国際連合の発足
連合国代表が1945年4月から6月にかけて、アメリカのサンフランシスコに集まった。「サンフランシスコ会議」である。国際連合憲章を採択し、国際連合設立が決定された。1945年10月には「国際連合」が発足した。アメリカ合衆国、イギリス、ソ連中華民国などの連合国による発足であった。 発足当時は51か国の加盟であったが、2021年6月時点では、193か国が加盟している。

■国連の目的
 国連の目的は大きく次の3つである。国連憲章1条に基づく。
 ・国際平和、安全の維持
 ・諸国間の友好関係の発展
 ・経済的、社会的、文化的、人道的な国際問題の解決のため、および人権、基本的自由の助長のための国際協力

■国連の主要機関
次の6つの主要機関がある。
 ・総会
 ・安全保障理事会
 ・経済社会理事会
 ・信託統治理事会
 ・国際司法裁判所
 ・事務局
総会は、全加盟国によって構成、安全保障理事会は、大国を中心として構成されている。 安全保障理事会で拒否権を持つのは、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国。この拒否権発動の範囲には、1945年2月にヤルタ会談で決められた。米英ソ中に、イギリスの希望によりフランスが加わり、この5か国が常任理事国となりまた拒否権を持つことが合意された。また、この連合国軍の極東委員会の下に位置するGHQが設置された。なお、GHQの最高責任者を「連合国軍最高司令官」と呼ぶ。GHQは総司令部「General Headquarters」から名づけられた。海外ではSCAP:Supreme Commander of the Allied Powers と言われる。

■国連の「英語名」が意味すること
 国際連合は「United Nations」
 国際連盟は「League of Nations」
 United Nations を国際連合と訳したのは意図的なミスリードと思われる。正しくは「連合国」つまり戦勝国の集まり。連合国に加えて、敗戦国以外の国がほかの加盟。 そして日本やドイツはいわば関ヶ原の敗戦国、外様である。また、敵国条項を課せられ、敵対視されている。現在もなお、この条項は解除されていない。ゆえに国際連合は戦後直後の戦勝国における「秩序維持体制」「敵国の警戒態勢」である。比喩としては、ヴェルサイユ体制、ワシントン体制が連合国体制(United Nations のレジーム)となっているといえるだろうか。

■連合国による日本の占領統治
 1945年8月よりポツダム宣言に基づいて、アメリカ軍中心の日本の占領が始まった。

なお、当初のGHQは、
・直接統治
・連合国による日本の分割統治
公用語の英語化
を検討していた。しかし当時の東久邇宮内閣が反発する。結果、GHQ天皇制を存続させ、代わりに日本政府を通じた間接統治に切り替えた。

民主化政策
 5大改革が進められた。
 その内容は
 1.婦人参政権の付与などによる女性の解放
 2.労働組合結成の奨励
 3.教育制度の自由主義
 4.秘密警察や治安維持法などの廃止
 5.経済の民主化
 である。
 また、大戦において「国家総動員体制」を可能にしたのは、階級構造によるものと分析がなされていた。その分析に基づき、様々な分野で水平化が進められた。民主化推進のため、
 ・財閥解体
 ・農地改革
 ・教育基本法の制定
が行われた。

WGIPウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム
日本国民は言論統制などもあって、戦争の結果に対する無知、戦争に対する「罪の意識」が希薄であったことが問題とされた。このため、残虐行為や、戦争の真実を明らかにするため、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」が実施された。GHQは1945年12月9日よりNHKのラジオを利用し「真相はかうだ」の放送が開始された。

■日本の問題点
ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」の「罪の意識」の植え付けによって、日本人の価値観を想定外に変えてしまった。結果、憲法を改正することは、軍国主義ととらえてしまい、アレルギー体質を生んでしまっている。

<参考>
・ハンドブック 日本史の要点整理
・使える日本史
・改訂版 中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本
サンフランシスコ会議 - Wikipedia
国際連合 - Wikipedia
安全保障理事会 | 国連広報センター
国際連合安全保障理事会における拒否権 - Wikipedia
ヤルタ会談 - Wikipedia
東久邇宮稔彦王 - Wikipedia
人間宣言 - Wikipedia
現人神 - Wikipedia
象徴天皇制 - Wikipedia
日本国憲法前文 - Wikipedia
概説[第3章 GHQ草案と日本政府の対応] | 日本国憲法の誕生
日本国憲法は誰が作ったのか? | 日本の歴史を分かりやすく解説!!
チャールズ・L・ケーディス - Wikipedia
松本烝治 - Wikipedia
神道指令 - Wikipedia
祭政一致 - Wikipedia
独立行政法人 国立印刷局 - お札の歴史
GHQは日本人の戦争観を変えたか 「ウォー・ギルト」をめぐる攻防
ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム - Wikipedia
眞相はかうだ - Wikipedia