シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

66.アメリカ外交政策の特徴とその多面性

日本からみたアメリカの外交政策や戦争の歴史をとらえる。「正義の国」として戦争を開始したと映るときもあれば、好戦的に戦争を仕掛けているかのように映るときもある。アメリカにはいくつものパーソナリティ、多面性がある。いくつかの切り口からその特徴をとらえる。

目次

アメリカ外交の特徴
共和党民主党の特徴
・ヘレン・ミアーズ アメリカの鏡によるアメリカの特徴
アメリカ大統領
・世論が誘導されて開始した戦争
・大統領別戦争史

アメリカ外交の特徴
原則、国益を重視するため、それまでと真逆の政策をとる場合がある。例えばGHQによる日本の民主化・非軍事化が共産主義を封じるためであったにせよ1945年~1963年にかけて「逆コース」を辿った。その戦略や戦術が、時や状況に応じて変化したり、目標が達成されて次のステップに移って進化し、一般市民では追えなくなってしまうだけであろうか。「日英同盟」の著者、平間洋一によれば、アメリカには次の特徴がみられる(分類体系はオリジナル)

◆基本原則
国益重視
◆主義
覇権主義 V.S. パートナーシップ
・国際主義 V.S. 孤立主義

◆地域展開
・欧米重視 と アジア重視
 これに加え、日本優先 または 中国優先
◆コミュニケーション
・関与 or 関与縮小

共和党民主党の特徴
共和党自由主義保守主義
民主党リベラリズム社会自由主義

■ヘレン・ミアーズ アメリカの鏡によるアメリカの特徴
アメリカは、アメリカ圏において、いかなるときに権益の防衛を必要とするか、その場合いかなる防衛手段を発動させるか、を決定する権利を留保している。つまり、アメリカは国際的制約を受けない立場にいて、他国を国際的に制約したいと思っている。アメリカは判定するが、判定されたくないのだ。
アメリカ大統領
ルーズベルト以後~現代までのアメリカ大統領は次の通り。冷戦期の1989年以降で、大統領が変われば、民主と共和が入れ替わるという現象がみられる。直接選挙制のため民意が変わりやすくなっているという影響があるとみられる。
◆~世界大戦
第32代・民主党フランクリン・デラノ・ルーズベルト 1933-1945
◆冷戦
第33代・民主党ハリー・S・トルーマン 1945-1953
第34代・共和党・ドワイト・デイビッド・アイゼンハワー 1953-1961
第35代・民主党・ジョン・フィッツジェラルドケネディ 1961-1963
デタント、新冷戦期
第36代・民主党・リンドン・ベインズ・ジョンソン 1963-1969
第37代・共和党・リチャード・ミルハウス・ニクソン 1969-1974
第38代・共和党・ジェラルド・ルドルフ・フォード・ジュニア 1974-1977
第39代・民主党・ジェームズ・アール・カーター 1977-1981
第40代・共和党・ロナルド・ウィルソン・レーガン 1981-1989

◆冷戦後
第41代・共和党ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ 1989-1993
第42代・民主党・ウィリアム・ジェファーソン・クリントン 1993-2001
◆9.11後
第43代・共和党・ジョージ・ウォーカー・ブッシュ 2001-2009
第44代・民主党・バラクフセインオバマ2世 2009-2017
第45代・共和党・ドナルド・ジョン・トランプ 2017-2021
第46代・民主党・ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア 2021-
■世論が誘導されて開始した戦争
アメリカの戦争には、正義の国とあるいは国際協調としての大義のあった戦争もあれば、ときとして世論誘導し創り出した脅威によって始めた戦争もある。例えば、以下の戦争があげられる。
 ・太平洋戦争:真珠湾攻撃は石油を禁輸させ追い込んだもの、日本側の暗号も解読していた
ベトナム戦争トンキン湾事件北ベトナムによる魚雷艇の攻撃はでっちあげ
湾岸戦争:ナイラ証言は、世界的PR会社ヒル・アンド・ノウルトンによるもの
イラク戦争イラク大量破壊兵器保有大義としたが、大量破壊兵器はなかった
■大統領別戦争史
大統領の任期と任期中の戦争をまとめた。その大統領が承認した新規の戦争として(☆)マークを記した。これをみると、トランプ大統領は前大統領からの継続の戦争はあるものの、自ら始めた戦争はない。ビジネスマンらしく実益重視、既存エリート層からの戦争提案を拒否していたのであったのであろうか。トランプの政策は「アメリカファースト」のスローガンに代表されるように、アメリカの一般市民、労働者を重視した政策だ。エリート層向けの政策ではない。このことがメディアから嫌われる要因となった。また、書籍「クリントン・キャッシュ」によれば、一部アメリカの政治家でインサイダーが疑われたり、政策決定の過程で利益誘導があるのではとの報告もある。しかし証明は難しいらしい。
◆~世界大戦
・1933-1945 民主党フランクリン・デラノ・ルーズベルト
 ⇒第二次世界大戦(☆)
◆冷戦
・1945-1953 民主党ハリー・S・トルーマン 
 ⇒第二次世界大戦
 ⇒朝鮮戦争(☆)
・1953-1961 共和党・ドワイト・デイビッド・アイゼンハワー
 ⇒朝鮮戦争
 ⇒ベトナム戦争(☆)
 ⇒レバノン危機(☆)
・1961-1963 民主党・ジョン・フィッツジェラルドケネディ
 ⇒ベトナム戦争
◆新冷戦(デタント期)
・1963-1969 民主党・リンドン・ベインズ・ジョンソン
 ⇒ベトナム戦争
 ⇒ドミニカ内戦(☆)
 ⇒朝鮮DMZ紛争(☆)
・1969-1974 共和党・リチャード・ミルハウス・ニクソン
 ⇒ベトナム戦争
 ⇒朝鮮DMZ紛争
・1974-1977 共和党・ジェラルド・ルドルフ・フォード・ジュニア
 ⇒ベトナム戦争
・1977-1981 民主党・ジェームズ・アール・カーター
 ⇒多国籍軍レバノン介入(☆)
・1981-1989 共和党・ロナルド・ウィルソン・レーガン
 ⇒多国籍軍レバノン介入
 ⇒グレナダ侵攻(☆)
◆冷戦後
・1989-1993 共和党ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ
 ⇒パナマ侵攻(☆)
 ⇒湾岸戦争(☆)
 ⇒イラクの飛行禁止区域施行作戦(☆)
 ⇒ソマリア内戦への第一次介入(☆)
・1993-2001 民主党・ウィリアム・ジェファーソン・クリントン
 ⇒イラクの飛行禁止区域施行作戦
 ⇒ソマリア内戦への第一次介入
 ⇒ハイチ介入(☆)
 ⇒コソボ紛争(☆)
◆9.11後
・2001-2009 共和党・ジョージ・ウォーカー・ブッシュ
 ⇒イラクの飛行禁止区域施行作戦
 ⇒アフガニスタン紛争(☆)
 ⇒イラク戦争(☆)
 ⇒ソマリア内戦へのアメリカの第二次介入(☆)
・2009-2017 民主党・バラクフセインオバマ2世
 ⇒アフガニスタン紛争
 ⇒イラク戦争
 ⇒ソマリア内戦へのアメリカの第二次介入
 ⇒オーシャン・シールド作戦(☆)
 ⇒リビアへの国際介入(☆)
 ⇒オブザーバント・コンパス作戦(☆)
 ⇒アメリカのリビア介入(☆)
 ⇒イラクへのアメリカ主導の介入(☆)
 ⇒シリアへのアメリカ主導の介入(☆)
・2017-2021 共和党・ドナルド・ジョン・トランプ
 ⇒アフガニスタン紛争
 ⇒ソマリア内戦へのアメリカの第二次介入
 ⇒アメリカのリビア介入
 ⇒イラクへのアメリカ主導の介入
 ⇒シリアへのアメリカ主導の介入

・2021- 民主党・ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア 
 ⇒アフガニスタン紛争
 ⇒ソマリア内戦へのアメリカの第二次介入
 ⇒イラクへのアメリカ主導の介入
 ⇒シリアへのアメリカ主導の介入
<参考>
日英同盟 平間洋一
クリントン・キャッシュ ピーター・シュヴァイツァー
社会自由主義 - Wikipedia
アメリカ合衆国大統領の一覧 - Wikipedia
アメリカ合衆国が関与した戦争一覧 - Wikipedia
トンキン湾事件
逆コース - Wikipedia