シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

86.国家予算の議論と防衛費増額のタイミング

防衛費を増額しようという議論がある。現在はGDPの1%程度、5兆円での予算確保を目安としている。これを今後GDPの2%程度、10兆円まで増やすというものだ。ここでは国家予算案作成の流れと、防衛費増額の議論のタイミングをみることで予算や財源に関する議論がいつ行われているかを把握できるようにする。

目次
・国家予算案作成の流れ
・歳入と歳出
・防衛費の推移
・防衛費の内訳
・防衛費増額の議論のタイミング

■国家予算案作成の流れ
1.次年度の予算
・5月、6月~8月:各省庁から予算を提出、財務省に提出
・9月:財務省が各省庁からあがってきた予算に対し認めるかどうかを判断し、その結果を内閣へ提出
・12月:内閣は財務省の報告をもとに予算案を作成
・1月~3月:通常国会にて予算案を審議、衆議院参議院の可決をもって成立

2.補正予算(追加予算)
当初予算の計画内での活動が原則だが、イレギュラーな事態が発生するなどした場合は「補正予算」を組む。一般的には9月以降に臨時国会を開いて補正予算を組む。ただし東日本大震災では新年度早々に追加予算が組まれた。リーマンショックでは不況対策として2度補正予算が組まれた。
■歳入と歳出
令和4年度の歳入と歳出は当初予算ベースで
 歳入:約108兆円
 歳出:約108兆円
であった
■防衛費の推移
2021年度では6兆円規模となる。
以下のサイトで防衛費の推移を確認できる↓www.tokyo-np.co.jp

■防衛費の内訳
何にお金が使われているのか。2022年度の当初予算ベースで人件費が42%、維持費が24.7%でここまでで66.7%を占める。さらに装備品購入費は15.8%、研究開発費は3.2%程度。
以下で他国と比べた防衛費がわかる↓

www.asahi.com

■防衛費増額の議論のタイミング
2022年12月5日、今後2023年度以降の5年間で総額43兆円を確保する方向で調整に入ったというニュースが流れた。
JBPressの記事を参考とした。
まず12月というタイミングは内閣が予算案を作成する時期なのでこの時期でのニュース発信となっていることがわかる。次に予算規模はどうだろうか。43兆円は5年間の合計の数字なので、年あたりにすると8.6兆円ほど。10兆円内に収まっている。そもそもなぜ防衛費を増額しないといけないか。ロシアによるウクライナ侵攻、中国による台湾侵攻への懸念が背景にある。
■感想
 防衛費の増額と軍事国家はイコールではない。むしろ真の主権国家を目指すには他国からなめられないようある程度の軍事力が不可欠だ。このタイミングでの防衛額の増強は、ロシアとウクライナの問題が現実化し民意を得やすく、またアメリカの戦略とも合致するということがある。しかし、防衛費を増税でまかなおうとするのはやめてほしい。お金がない作戦で増税をちらつかせて、そのあと取り下げて国債に切り替えるようなら秀逸なシナリオなのだろうが。財源の拠出問題、結果はどうなるだろうか。

<参考>
予算・決算|内閣官房ホームページ
[国の財政] 国の予算 | 税の学習コーナー|国税庁
【Q&A】国の「補正予算」って何?(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)
[国の財政] 財政のしくみと役割 | 税の学習コーナー|国税庁
防衛費が初の6兆円超…異例の補正予算、新規装備を購入 7年で1兆円増:東京新聞 TOKYO Web
一気に進んだ防衛費増額議論、裏側でなぜか予算分捕り合戦のさもしい展開 「関連する経費」も増額の対象、活発になる族議員の動き(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)