シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

116.西洋文明発祥の地、ギリシャのエーゲ海の3つの文明

次に西洋文明の発祥の地、ギリシャをみていく。神話やオリンピック発祥の地として有名だが、知っているようであまり知られていない。そこで、知や芸術の源泉となったギリシャ文明をいくつかのキーワードを通して紹介する。ギリシャのエーゲ文明は3つ、その舞台はいずれもエーゲ海
■1.クレタ文明
ミノア文明とも呼ばれる。民族系統は不明。海洋文明でありエーゲ海南部、地中海最大の島であるクレタ島を中心に栄えた。紀元前7000年頃人類が居住し始めた。紀元前2000年頃~紀元前1400年頃にかけて全盛期を迎えた。イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズが1900年によって発見した。クレタ文明では中央広場、それを囲むクノッソス宮殿などがある。宮殿の一辺は160m以上、部屋は1200個以上あったとされる。宮殿や広場は王権の象徴でもある。また儀式や祭典もなされたと考えられる。ほかフレスコ画漆器、陶磁器などの工芸品、絵文字、線文字A(ミノア文字)、クレタ聖刻文字といった文字が使用された。紀元前1700年頃に起こった大地震によって崩壊する。ミケーネ文明時代に再び復興するが、紀元前1370年頃に大規模な災害が再び起こった。その後、再び栄えたのはローマ時代、エーゲ文明はローマへと引き継がれていった。
■2.ミケーネ文明
アカイア人と呼ばれるギリシア人によって興った。ギリシア本土において栄えた。紀元前1600年頃~紀元前1200年頃にかけて全盛期を迎えた。ドイツの考古学者ハインリヒ・シュリーマンによって1876年にミケーネ遺跡が発見された。獅子門、アガメムノンの黄金マスクが発見された。そしてかつてミケーネ王国が存在していたことがわかった。文明ではペロポネソス半島を中心にミケーネ、ティリンスといった都市国家が建設された。また先進文明のミノア文明と海上貿易を行い発展した。線文字Aが文字体系が法則的に整備され簡略化された線文字Bが開発された。古代ギリシア世界全体へ文字文化が定着していった。滅亡は、紀元前1200年頃、系統不明の民族による都市の破壊、ドーリア人(別のギリシア人一派)の侵入受け滅亡していく。なお、ホメロス叙事詩イリアス』に物語られるギリシアの王国連合とトロイア王国との10年の戦争はこの時代とされる。
■3.トロイア文明
古代都市トロイアを中心に栄えた文明でエーゲ海を挟んだギリシア本土の対岸、小アジア北西部(現トルコ・アナトリア北西部のエーゲ海沿岸)に栄えた。紀元前2600年頃~紀元前1200年頃にかけて断続的に栄えた。ミケーネ文明によって滅ぼされた。1871年、ドイツの考古学者ハインリヒ・シュリーマンによってトロイア文明は発見された。トロイア文明はトロイア戦争の舞台である。ギリシア最古の詩人、ホメロスにより叙事詩イリアス』でトロイア戦争が描かれた。その原因はトロイアの王パリスが、スパルタ王の妻ヘレネに恋をし、トロイアへ連れ去ってしまったことが発端と伝えられる。
■パリスの審判
パリスの審判は、トロイア戦争の発端とされるギリシャ神話の一挿話。トロイア王・プリアモスの息子パリスが、エリスの惑わしによって三美神であるヘラ、アフロディーテ、アテナのうちで誰が最も美しいかを判定させられたエピソード。黄金のリンゴを受け取った者を最も美しい女神とし、果たしてパリスは誰を選ぶのかというもの。3美神は何を表しているかというと、以下を象徴するとされる。
・ヘラ:権力や財産
アフロディーテ:愛や美
・アテナ:勝利や知恵
結局、パリスはアフロディーテを選んだ。ピーテル・パウルルーベンスの他、さまざまな画家が「パリスの審判」を題名とした絵を描いた。
↓参考 ルーベンス:パリスの審判

ja.wikipedia.org■黄金のリンゴ
この黄金のリンゴは地球のメタファー(比喩)とされる。世界において最も大事なものはお金でも、権力でもなく、地球そのものであるということ。
■ゼウスの王家(※通説でない真実含む)
ゼウスは神話上の人物ではなく実在の人物。紀元前17世紀、ミケーネ島の王家に生まれたとされる。兄弟にポセイドン、ハデスがいた。妻はヘラ、娘にアテナ、息子にアポロンがいた。戦乱の時代に芸術、演劇などを取り入れた。また運動競技を通じて人々を調和、喜びを感じることのできる基盤がつくられた。のち、古代オリンピックの原型となっていった。
ギリシャの哲学者たち
古代ギリシャは哲学者を生み出し、何を考えるべきかを自らや民衆に問い続けた。ソクラテス(紀元前470年頃 – 紀元前399年)の「無知の知」、プラトン(紀元前427年 - 紀元前347年)の「イデア界」、アリストテレス(前384年 - 前322年)の「三段論法」など、数々の思想を生み出した。なおギリシア人はエジプト文明ギリシア文明の起源とみなしていた。数多くのギリシア人がエジプトを訪れ、科学・技術・宗教・思想などを学んだ。※ピリレイスの地図はその技術のうちの断片と思われる。
■豆知識:
線文字Bを解読するAIが登場↓
gendai.media②:キクラデス文明
エーゲ海のキクラデス諸島で栄えた文明。紀元前3000年~紀元前2000年頃まで栄えたとされる。フォルムが様式化・抽象化された大理石の像や通称「キクラデスのフライパン」という用途不明の遺物が存在する。明らかにわたしたちの紀元前3000年頃に対する認識の文化、芸術水準を超えている。キクラデス文明だけを見ても昔=今より劣っているという図式は、認識違いで単に記録が残っていないだけ、滅んでしまっただけであるということがわかる。
<参考>
・マンガ面白いほどよくわかる!ギリシャ神話 かみゆ歴史編集部編
・地球ことば村 クレタ聖刻文字:https://www.chikyukotobamura.org/muse/wr_europa_31.html
・世界史の窓 線文字B
クレタ文明とミケーネ文明とトロイア文明の違いとは?エーゲ海を代表する三つの文明の位置関係と具体的な特徴の違い | TANTANの雑学と哲学の小部屋
ミノア文明 - Wikipedia
クノッソス - Wikipedia
ミケーネ文明 - Wikipedia
・世界の窓:ミケーネ王国
トロイア戦争 - Wikipedia
ホメロス
ギリシア哲学 - Wikipedia
古代オリンピック - Wikipedia
キクラデス文明 - Wikipedia
キクラデス諸島 - Wikipedia