シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

124.古事記とは奈良時代につくられた日本版神話

ここまで日本史、および古代の世界史、シュメール~古代イスラエルを経てイザヤの預言が成立するまでのつながり、そしてDNAによる民族の分布状況を確認してきた。ここではいよいよ日本にスポットライトをあて、古事記の成立過程をみていく。

古事記の成立
元明天皇の勅使によりつくられた日本の歴史書稗田阿礼が語り、太安万侶が筆録した。内容は天地創生、日本の神々、史実の混成と考えられる。712年に完成。通説では古事記成立以前に存在した帝紀旧辞の内容を稗田阿礼が記憶しており、参考として作成されたとされる。帝紀とは古代における皇位継承を中心とした記録。旧辞とは各氏族伝来の歴史書

■同時代の歴史書
まず日本書紀が720年に完成した。太安万侶は日本書記の撰者の一人である。また、713年頃、風土記を作成するよう詔(みことのり)が下された。常陸国出雲国播磨国肥前国豊後国の5風土記が現存している。当時は60ヶ国ほど国があったとされる。807年には古語拾遺(こごしゅうい)には豪族忌部氏から見た神話が記された。また乙巳の変のさなかに消失したとされる「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」が936年に発見された。

■日本版神話・古事記作成の時代背景
聖徳太子(574-622)や推古天皇が出て、中国や朝鮮の制度を元としながら十七条の憲法と冠位十二階なる人材登用制度という日本オリジナルの制度を整えた。一方、当時の世界大戦の前哨戦ともいえる663年の白村江の戦いでの敗戦を経て、百済高句麗からの移民を受け入れた。持統天皇によって701年の大宝律令(律という刑罰、令という行政、租税、労役に関する規定)が整った中での日本版神話への着手であったといえる。日本書紀は国際向けの日本史。古事記日本書紀とも文字は漢字で書かれた。なお口語としては当時は大和言葉が中心であったとされる。この神話作成ののち「日本版の文字」となるひらがな、カタカナをつくっていくことになる(※文字の形成過程は別記事で紹介予定)

古事記の構成と内容
上・中・下の三巻構成である。上巻では天地開闢という天地の誕生、高天原という天上界への神々の出現、日本の国土の成立、神々という英雄の誕生が示された。中・下巻では歴代の天皇となる初代・神武天皇~第33代推古天皇までの系譜や事績を語っているとされる。天皇天照大神の子孫であること(※)が強調されている。
※天之御中主、天照大神などの高天原の神々については別記事で紹介予定

稗田阿礼の特殊能力
不思議な力を持ち、わずか4か月で古事記を完成させた。当時の時代の語り部であった。語り部とは、次元の異なる意識体と交信し、言語中枢を貸与して語って頂くといういわゆる霊媒的、巫女的能力を持っていたとされる。そのため高天原の神々である高級諸霊を通じて天地開闢、天照の岩戸隠れ、大国主之命の国引き、神武天皇の東征など神代や古代の話を記すことができた。
※「神の声を聴ける能力」には別記事で紹介予定。旧約聖書預言者モーセ含む)、イエス、フランスを救ったが火刑となった「ジャンヌ・ダルク」などもその能力を持っていたとされる。
※610年~632年頃、ムハンマドに啓示が降りのちのコーランができたとされる。100年ほど異なるが似た時期での神話の成立。これで世界側ではユダヤ教キリスト教イスラム教の教えがでそろった後の日本版神話成立となった。

古事記を読むためのガイド
古事記の世界観の中では葦原中国(あしはらなかつくに)、高天原(たかまがはら)、黄泉国(よもつくに)がある。葦原中国が地上の世界。黄泉国は死後の世界、高天原は天上界を示していると考えられる。当時の時代の世界観、万葉人にわかる範囲で高級霊人から教えが伝えられたとされる。しかし、当時の霊的世界の構造、地上側の知識などから天上界・高天原における出来事、葦原中国・地上界における出来事、その時間軸が混交してしまい理解が難しい物語となってしまったとされる。また、天御中主之神~卑弥呼、台与までの九州王朝期における史実が神話化されており混乱を招く結果となっている。
<参考>
古事記と日本の神々
・地図とあらすじで読む 古事記日本書紀
・面白いほどよくわかる!古事記
ほか