シン・ニホンシ

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197.摩訶不思議なお経のヒミツ~般若心経のほんとうの意味~

八角墳やキトラ古墳などの装飾古墳などにより飛鳥時代における古墳が終わると奈良時代聖武天皇が廬舎那仏を建立、仏教の時代が到来していく。ここでは「般若心経の起源」や「魔訶不思議」の「摩訶」、「般若心経の本来の意味」を下記にて紹介する。
・般若心経の起源
・インドへ渡った中国の訳経僧
玄奘に師事した道昭
・摩訶不思議の魔訶とは
サンスクリット語
・般若心経とは
・般若心経の設定
・般若心経の意味

■般若心経の起源
いつどこで書かれたかははっきりとしていないとされる。仏教が密教化した5~6世紀ころに成立したのではないかと推測される。明確に確認できるのは7世紀初頭とされるがそれ以前の成立である。以下、日中の仏教発展に貢献した「玄奘」と「道昭」を紹介。

■インドへ渡った中国の訳経僧
中国・唐代の訳経僧「玄奘」が629年、シルクロードの陸路でインドへと向かった。そしてナーランダ僧院などへ巡礼、仏教の研究を行った。645年には帰還し、経典657部や仏像などを持ちかえったとされる。

ja.wikipedia.org

玄奘に師事した道昭
さらに日本からは道昭(629年~700年)は中国に渡り、玄奘三蔵に師事したとされる。653年の第二回遣唐使の使者として入唐した。
↓奈良薬師寺HPにて道昭の紹介がある

yakushiji.or.jp

■摩訶不思議の魔訶とは
摩訶(まか)不思議という言葉がある。この「摩訶」とはなんだろうか。意味は「すぐれていること、おおきいこと」。サンスクリット語の「mahà」が由来。そして 「不思議」も仏教用語。「普通とは非常にかけ離れている」ことを表す。「摩訶不思議」で「非常に不思議なこと」となる。

サンスクリット語
古代インド・アーリア語に属する。 大乗仏教で多くの仏典がこの言語で記されたとされる。百済、そして日本にも仏教が伝来、知らず知らずのうちにサンスクリット語がつかわれているのかもしれない。

■般若心経とは
般若経」600巻のエッセンスをまとめたもの。サンスクリット語が中国語の漢字に音写されている。わずか260~266文字に大乗仏教の真髄が凝縮されている。
※文字数は数え方により異なるとされる

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■般若心経の設定
釈迦が弟子の舎利子(しゃりし)に語りかける形式をとる。「般若」とは智慧であり、知識だけではなく実践を伴うもの。「波羅」は到達するの意。「心経」とは心の教えの意。「羯諦(ぎゃーてい、カーティ)」は彼岸で、浄土、苦しみのない世界の意。つまり「般若波羅密多心経」で「大いなる智慧に到達するための心の教え」を意味する。

■般若心経の意味
心経を唱えることが主ではなく、その教えを日常を通して実践していくことが主とされる。このためその本来の意味を解読、要約したので紹介する。

●人がみな誰しもが持つ 内在する 大いなる智慧に到達するため 日常の生活を通し 深く実践を行おうとするとき
観自在菩薩(かんじざいぼさつ) 行深般若波羅蜜多時(ぎょうじんはんにゃはらみったじ)

●五感から感じる煩悩が 心に影響をおよぼし 一切の苦しみとなって現れる
照見五蘊皆空(しょうけんごうんかいくう) 度一切苦厄(どいっさいくやく) 舎利子(しゃりし)

●色とは 目に見えるもの 手に触れられるもの 体、物質のすべて そしてそれらの色は 空という 何もない そう思える世界から生じている
色不異空(しきふいくう) 空不異色(くうふいしき)

●つまり あるということ ないということは 表裏一体である
色即是空(しきそくぜくう) 空即是色(くうそくぜしき) 

●五感を通して感じる その反応は 心を通じて 意志となり 行為となる
 受想行識亦復如是(じゅそうぎょうしきやくぶにょぜ) 舎利子(しゃりし)

●心と行いの法則は 意識の世界と 物質の世界にまたがり 作用する
 是諸法空相(ぜしょほうくうそう) 

●本来の空の世界では 生まれること 滅すること 汚れること 清まること 増えること 減ることもない 一定不変の法則がある
不生不滅(ふしょうふめつ) 不垢不浄(ふくふじょう) 不増不減(ふぞうふげん)

●これゆえに 空の世界においては 五感を通し 感じることはなく
是故空中(ぜこくうちゅう) 無色(むしき) 無受想行識(むじゅそうぎょうしき) 

●耳で音を聞く 鼻で匂いをかぐ 舌で味わう 触って感じるということはない
無限耳鼻舌身意(むげんにびぜつしんい) 無色声香味触法(むしきしょうこうみそくほう) 

●目に見える境界もなく 仮の世界の法則によって 迷いを生じることもない  
無眼界(むげんかい) 乃至無意識界(ないしむいしきかい)

●迷いのない 明るい 真実の世界は 光に満ち 尽きることはない 
 無無明(むむみょう) 亦無無明尽(やくむむみょうじん) 

●年老いたり 死んだりすることもなく 
乃至無老死(ないしむろうし) 亦無老死尽(やくむろうしじん)

●苦しみをつくって 人生に迷うこともなく
 無苦集滅道(むくしゅうめつどう) 無智亦無得(むちやくむとく)

●お金を得るために 知識を学ぶ必要はない
以無所得故(いむしょとくこ)

●大いなる智慧により 悟ることができた人は
菩提薩埵(ぼだいさつた) 依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)

●心にとげがなく ひっかかるものがない ゆえに 恐怖を感じることはない
心無罣礙(しんむけいげ) 無罣礙故(むけいげこ) 無有恐怖(むうくふ) 

●心の迷いという 真実に反する世界から遠く離れ 究極的な 悟りに至る
 遠離一切顛倒夢想(おんりいっさいてんどうむそう) 究竟涅槃(くうぎょうねはん) 

●過去、現在、未来 三つの世界において 学びを繰り返し 大いなる智慧により  
三世諸仏(さんぜしょぶつ) 依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)

●内在する智慧の扉が 開かれた人は 最高の智慧へと 到達する 
 得阿耨多羅三藐三菩提(とくあのくたらさんみゃくさんぼだい) 故知般若波羅蜜多(こちはんにゃはらみった)

●これは 大宇宙の法則であり 大宇宙の光である
 是大神呪(ぜだいじんしゅ) 是大明呪(ぜだいみょうしゅ) 

●これ以上の これに変わる 法則は 存在しない
 是無上呪(ぜむじょうしゅ) 是無等等呪(ぜむとうどうしゅ)

●人の営みから生じる 生きること 老いること 病 死 これらの苦しみを除けば これは真実であり 偽りはない
 能除一切苦(のうじょいっさいく) 真実不虚(しんじつふこ) 

●ゆえに 大いなる智慧を 教えとし 日々の行いの中で 実践を通して
故説般若波羅蜜多呪(こせつはんにゃはらみったしゅ 即説呪日(そくせつしゅわつ)

●彼岸へと 悟りの境地へと 歩んでいこう
羯諦(ぎゃてい)羯諦(ぎゃてい) 波羅羯諦(はらぎゃてい) 波羅僧羯諦(はらそうぎゃてい)菩提薩婆訶(ぼじそわか) 般若心経

<参考>
193.八角墳が6世紀後半から地方で登場、7世紀から近畿で天皇陵として採用された - シン・ニホンシ
道昭 - Wikipedia
サンスクリット - Wikipedia
般若心経 - Wikipedia