シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

30.明治維新の構図にグローバルな問題を解決するヒントがある

ここまで日本史における古墳時代明治維新までを学んできました。わたしたちにとっては、いかに歴史から学ぶか。いかにこれからの時代において日本を、そして世界を発展させていくのか。戦争や地球規模での災害が起きている中で、どのようにグローバルな問題を解決していくのか。実は、明治維新を達成した構図の中に解決の糸口があるのではないでしょうか。ここではそのヒントを探ってみます。

古墳時代室町時代
 主に大王や征夷大将軍のトップの力が強かった。トップダウンだから意思決定も早く行うことができた。いわゆる、絶対君主制的な支配体制です。徳治主義的に徳のある人物がトップもしくは聖徳太子のように権力中枢をサポートしている場合はよいが、例えば世襲などによってハズレた場合、浪費によって民衆に重税を課したりで、継続性の観点ではよくない。一方、地方はまとまりがなく、中央の意志を反映することが難しかった。技術面では、主に大陸や朝鮮からの渡来系の方から技術を取りいれていた。

■戦国時代
 守護大名から転じた戦国大名の力が強かった。信長、秀吉、家康をはじめとする大名により天下統一が成し遂げられた。カリスマ性のある大名により、中央の意志を地方に反映するトップダウン的意思決定が以前に比べ容易となった。
 世界は大航海時代。スペイン、ポルトガルといったカトリックキリスト教の宣教師や商人を情報源とし、鉄砲や大砲なども国産化するなど技術革新を図った。 情報伝達手段として、天正遣欧少年使節により活版印刷を獲得した。東南アジアも植民地化されていった。列強諸国の植民地政策に巻き込まれる形で、戦略的に鎖国政策をとった。

■江戸時代
 戦国時代にまとめあげた資産を引き継いだ幕府の力は約250年に及んだ。その天下泰平の中で元禄文化を生んだ。しかし経済的な困窮の中で弱体化していった。中国とオランダからは海外情報レポートを入手していた。イギリス、アメリカ、ロシアなどからの軍事的圧力が高まっていった。清もアヘン戦争で植民地化されてしまった。
 このような世界情勢の中で、開国しなければ産業革命による技術革新を伴ったイギリス、アメリカ、ロシアなどから武力によって、いつ植民地化されてもおかしくない状況であった。

■幕末~明治維新
幕藩体制は陳腐化し、統率の効かない意思決定機構となっていた。雄藩も1つの国としては強く結束力はみられても、藩の境界線を超えた中ではある意味で他国であり、まとまりがなかった。このよう中において、一個人の利害(わたしたち一人ひとり)を超えて、藩の利害(各国)を超えて手を結び、雄藩連合(地域連合?)としてまとまっていく。そして日本(世界連合?)としてまとまっていく。外国からの圧力(グローバルな課題)に立ち向かいながら、日本の窮地を救うという理想をかかげ(ビジョン)、それが達成された革命が明治維新でした。

明治維新の構図にグローバルな問題を解決するヒントがある
明治維新を達成したその構図の中には、個々人や一つの国の利害を超えて、世界として、同じ地球に住む家族の問題として、戦争、宗教問題、地球資源・エネルギー資源の問題、地球環境問題などのグローバルな課題を解決していくヒントが隠されている、雛形であると言えると思います。
 決して一つの国でもって解決できるような問題でもありませんし、地政学的に隣接している国同士では利害関係も衝突します。キリスト教イスラム教の対立といった宗教上の問題もあります。何が問題であって、どのように解決すればよいのかということも必要。でもそれだと結局お上任せ、政治任せにしかなりません。だいたい、政治家にお任せしたらうまく解決できた、ということはいままであったでしょうか。 いくら選挙で大臣を、総理大臣を変えたとしても、やはり日本を救いたいだとか、世界を救いたいだとか、その意志のベクトル、熱い情熱の渦のようなものがない限りは人々も動いていきません。
 国連も、国同士の町内会の集まりのようなもので、利害関係の集まりですし、大きな権限をもっていません。軍事レベルでは国連安全保障理事会があります。しかし、第二次世界大戦戦勝国の権限が強すぎます。また、正しい意思決定を行えるのかということ自体がそもそもの疑問です。
 ロシア・ウクライナ戦争以前、アメリカとロシアという対立構造はありましたが、
アメリカ=善で、ロシア=悪というわけでもありませんでした。比較論の中でアメリカの方がまだよい、という程度問題であったのでした。そして事実、ロシアへの制裁に賛成している国々は、主にヨーロッパとアメリカに従属する国々が中心で、アメリカとロシアの対立軸から外れている国々は中立の立場をとっています。常任理事国自体にロシアのような攻撃性をもった巨悪が潜むか、または善から悪に転じていった場合、安保理の決議は一致できません。
 国連に任せる、国に任せる、地方に任せる。任せる前に、そもそもわたくしたちにできることは何なのか。まずは一人一人の思いというか、認識力、時代を見抜く力が必要だと思います。時代を見抜いた中で、自分たちにとって何ができるのか。それを選択していく。そこがなければ、ただただ忙しい日常の中で、日々を消化していってしまうのではないでしょうか。
 英語ができなければ活躍できないという時代も変わってきました。ネットで情報も入手できますし、翻訳、会話も翻訳機が発達してきました。SNSや動画など多様な発信スタイルもそろっています。地球をまたにかけないといけない?そんなヒーローでもないわたしたちですが、そもそもリモートワークで、”移動しない”という画期的な選択肢ができました。今の状況を一人一人がまずどうとらえるのか。他人任せにしない。ここがまず必要なのではないでしょうか。