第二次世界大戦以後、アメリカは正義の国として、民意や国際法を味方につけ、世界の紛争に介入、権益を確保しようと動く。しかし戦争に疲弊したアメリカはやがて、世界の警察から撤退していく。ここでは特に原因となった中東紛争への介入を取り上げる。ソ連もアメリカも、中東の紛争に手を出したため、国力が衰退した。ここではアメリカとテロとの戦い、世界の警察からリタイアした理由を紹介する。
・サダムフセインとアメリカの中東紛争への介入
・アメリカ同時多発テロ事件
・アフガニスタン紛争(2001-2021)
・イラク戦争(2003年3月-2011年12月)
・世界の警察からのリタイア
■サダムフセインとアメリカの中東紛争への介入
サダムフセインはイラク共和国大統領として1979-2003年まで在任した。その在任中に以下の戦争があった。
・1980-1988年イラン=イラク戦争ではシーア派のイランと戦った
・1990年、クウェートへ侵攻した
・1991年、アメリカ軍を中心とする多国籍軍がイラクに侵攻、湾岸戦争となった
「ナイラ証言」をもとにイラク攻撃開始の正当性とされた。しかしこのナイラは演技指導も受けた在米クウェート大使館の娘であった
・1998年、大量破壊兵器の保有疑惑に対する国連査察を拒否、空爆を受ける
・2003年、イラク戦争 ※後述する
■アメリカ同時多発テロ事件
2001年9月11日、イスラム過激派テロ組織アルカイダによって実行された、アメリカ合衆国に対するテロ事件。旅客機4機がハイジャックされた。ワールドトレードセンターへ2機が追突。ペンタゴンに1機が追突。残りの4機目は、ワシントンDCに向かっていたが、墜落した。アルカイダとビンラディンは、テロの動機として
・アメリカのイスラエル支援
・サウジアラビアにおけるアメリカ軍の存在
・イラクに対する制裁
をテロの動機としてあげたとされる。
■アフガニスタン紛争(2001-2021)
アメリカのテロ事件発生によりアメリカはアフガニスタンにおいてアルカイダの庇護者とみられるタリバン政権に対してウサーマ・ビン・ラーディン氏の引き渡しを要求した。しかし、タリバン政権はこの要求を拒否。2001年10月7日より、アフガン戦争が開始された。
タリバン政権はパキスタン軍の諜報機関ISI(軍統合情報局)を通じてCIAから支援を受けていた。うまく力のある組織が形成され民族がまとまってくれれば良かったのであるが結果は失敗に終わってしまった。アメリカは2011年5月2日、指導者ウサーマ・ビン・ラーディン氏をパキスタンで発見、殺害に至った。
2021年8月30日、 米軍がアフガニスタンからの撤退を完了する。同8月31日、バイデン米大統領が戦争終結を宣言した。9月8日には首相をハッサン・アフンドをとしてアフガニスタン・タリバン暫定政権が発足した。
■イラク戦争(2003年3月-2011年12月)
2001年9月11日の同時多発テロを受けアメリカはイラクが実行犯テロリストを匿っており、かつ大量破壊兵器を開発していると考えた。そこで2003年3月、「イラクの自由作戦」の名の下に、
・イラクの武装解除の進展
・大量破壊兵器保持
を理由として侵攻を開始した。しかし、実際は大量破壊兵器はなく誤情報であった。アメリカはサダム=フセインを捕らえたのち、2006年12月にバグダードで死刑を執行した。なお、イスラム国(承認はされていないため正式な国家ではない)はイラクの旧フセイン政権の官僚たち(元バース党)や軍人が合流しリーダーとなったもの。
■世界の警察からのリタイア
2013年9月、オバマ大統領は「世界の警察官をやめる」と宣言した。
2020年2月、トランプ米政権はアフガニスタンにおいてカタール・ドーハでタリバンと米軍撤退について合意
2021年8月、バイデン米大統領がアフガニスタン戦争を終結した
冷戦という対立構造の中でくくられて解釈されてきたアメリカとソ連の対立。そういう歴史解釈のくくりもなくなっていく中で、中東の紛争が火種になるのであろうか。もともとは民族や一国家の中での対立にとどまっていたアフガニスタン、イラク、イスラエルでの民族対立や紛争。これにソ連やアメリカやが介入し、中東の地域紛争、宗教紛争を助長させているのかもしれない。
<参考>
・パナマ運河
・サダム=フセイン
・ナイラ証言 - Wikipedia
・サッダーム・フセインの死刑執行 - Wikipedia
・アメリカ同時多発テロ事件 - Wikipedia
・ウサーマ・ビン・ラーディン - Wikipedia
・ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害 - Wikipedia
・アフガニスタン紛争 (2001年-2021年) - Wikipedia
・「世界の警察官をやめる」と宣言したオバマ大統領 | アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる | ダイヤモンド・オンライン
・【解説】 トランプ米政権とタリバンが交わした撤退合意 現状への影響は - BBCニュース
・イラク戦争 - Wikipedia
・「イスラム国」(ISIL)出現の背景 ―近現代イスラーム思想史から考える― | 一般社団法人平和政策研究所