シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

119.中国における3つの信仰:儒教、仏教、道教とカピラヴァストゥからの仏教の伝播ルート

日本人とは何かを知る際に神道儒教、仏教の歴史を知る必要がある。ここではその「仏教の伝播ルート」を紹介する。あわせて中国人の信仰の3点セットとも言われる儒教、仏教、道教の思想を紹介する。

■古代中国の歴史
王朝別に年代をまとめた。中国や韓国への遣使の歴史の参考としたい。
◆夏:紀元前2070年頃 - 紀元前1600年
夏王朝は伝説とされてきたが近年、夏王朝初期の大型祭祀跡・中国河南瓦店遺跡が発見された。また後期の「東渠遺跡」が中国山西省の臨汾盆地で発見された。また、夏の時代に大洪水が起こったとされ、紀元前1920年であったする説がみられる。

◆殷:紀元前17世紀頃 - 紀元前1046年
殷墟(いんきょ)から甲骨文字が見つかっている。殷墟とは河南省安陽市の市街地西北郊、殷都区に位置する殷王朝後期の首都の遺構。

◆周:紀元前1046年頃 - 紀元前256年
殷の従属国だったが紀元前1046年に牧野(ぼくや)の戦いで殷を倒し周となる。
西周:紀元前1046年頃 -紀元前771年の洛邑(らくゆう)遷都までの時代。
・東周:西周が遷都後、秦に滅ぼされるまでを東周(春秋戦国時代)。

・晋:紀元前11世紀 - 紀元前376年
 現在の中国山西省西周代~春秋時代にわたり存在していた国家。諸子百家は春秋末期~戦国時代のおよそ300年間に集中し数々の思想家を輩出した。
 - 春秋時代:紀元前770年 - 紀元前403年。
 - 戦国時代:紀元前403年 - 紀元前221年。晋が韓・趙・魏に分裂、戦国時代に。

◆秦:紀元前221年 - 紀元前207年
 秦王・政(せい。始皇帝)が六国を滅ぼして中華統一を成し遂げた。中国の伝説的な帝王である「三皇」の「皇」と「五帝」の「帝」を合わせて「皇帝」と定め、初めの皇帝であることから「始皇帝」と名乗ったとされる。「秦始皇帝陵」は紀元前246年から紀元前208年にかけて造られたと推定されている。不老長寿を求める思想は道教から来ている。

◆漢:紀元前206年 – 220年
前漢(紀元前206年 - 8年)と後漢(25年 - 220年)がある。この2つの王朝を総称し「漢王朝」と呼ばれている。初代皇帝が劉邦(高祖)。光武帝(こうぶてい・前6年 - 57年)は、後漢王朝の初代皇帝で「漢委奴国王」の金印を倭(日本)の奴国に与えた皇帝とされる。その際の遣使が光武帝が没するあたりである。

◆晋:265年 - 420年
西晋:265年 - 316年
 晋王司馬炎が魏の元帝より禅譲を受けて建国。異民族の漢に滅ぼされた。
東晋:317年 - 420年
 皇族の生き残りが江南に逃れて即位(元帝)。西晋と区別し東晋という。
 五胡十六国時代:304年 - 439年。
    ごこじゅうろっこくじだい。五胡とは匈奴鮮卑・羯・氐・羌の5つ。

南北朝時代:439年 - 589年
 北朝北魏東魏西魏北斉北周
 南朝:宋、斉、梁、陳
◆隋:581年 - 618年
◆唐:618年 - 907年

儒教
孔子(紀元前552年 - 紀元前479年 )の教えが元となり儒教となった。主な教えは以下の孝、仁、礼である。
・孝の実践(先祖をお祀りし、子孫を残すという連鎖を祈念)、親孝行する
・仁:思いやりと礼(社会関係の儀礼的な秩序)を重んじる
・孔門の十哲(こうもんじってつ):孔子の弟子の中で最も優れた以下の10人の弟子。
- 徳行に優れる:顔回閔子騫(びんしけん)、 冉伯牛(ぜんはくぎゅう)、 仲弓
- 言語に優れる:宰予、子貢
- 政事に優れる:子有、子路
- 文学に優れる:子游、子夏
道教
政治を行う「為政者」に取り入れられた儒家孔子孟子荀子)はどちらかというと秩序を守り、厳しく個人を磨く王者を目指す教えであった。これに対し、道家となる老子荘子のは異なるある種のアンチテーゼ(反対の理論・主張)。老子の「道教」は世俗を離れてあるがままに生きることで、地位、名誉、立身出世などを目指さずとも、日常の中に人生の喜びはあると説く。「老子」は自分を偉しとするのではなく「(無名の)ただの老いぼれ」と称していたため後に「老子」と呼ばれた。若き孔子と出会ったことがあり、たいした言葉を交わさなかったとされる。お互いの存在を認め合い、敬意を払いあったとされる。
■仏教
「仏の教え」、人間完成への道となる教え。大乗仏教上座部仏教小乗仏教)ともいう)にわかれる。釈迦の出身地、カピラ城(カピラヴァストゥ)を起点とし、北につたわったものを「北伝仏教」ともいい、大乗仏教のことである。日本にはこの大乗仏教が伝わった。一方、南に伝わったものを「南伝仏教」ともいい、上座部仏教(小乗)のこと。小乗が「修行によって解脱して涅槃に至る」、大乗が「利他の行いによってすべての衆生を救う」とされる。意訳すると小乗は自分自身を光らせる追及の道、大乗はその過程を修了した者が今度は他人を光らせていく道ともいえる。
■仏教の伝播ルート
次のような国々に伝わった。
・大乗(北伝):中国、朝鮮半島、日本、チベット、モンゴルなど
・小乗(南伝):スリランカ、タイ、カンボジアラオスミャンマーなど
下記サイトより矢印でのルートが確認できる↓

sekainorekisi.com
■豆知識
ガンダーラ王国は紀元前6世紀から11世紀に存続、パキスタンアフガニスタンにまたがるエリアに存在。ゴダイゴの歌「ガンダーラ」はインドのイメージで歌われているが、実際はパキスタンあたりが近い。
■まとめ
・漢委奴(かんのわのなの)国王は王朝交代期に遣使した
・台与が西晋の都、洛陽に朝貢した266年は漢から晋(西晋)に交代の翌年
<参考>
・眠れなくなるほど面白い 始皇帝の話
・図解雑学 諸子百家
老子
夏王朝初期の大型祭祀跡を発見=中国河南瓦店遺跡

臨汾盆地で夏王朝後期の遺跡を発見 中国山西省 写真15枚 国際ニュース:AFPBB News
カピラ城 - Wikipedia
大乗仏教・上座部仏教の違い | 大阪市西淀川区のお寺 光明寺
ガンダーラ - Wikipedia