シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

133.日本史の見方:君主を主体とするミッション達成志向型の政治とテクノクラートのサポート

日本の歴史をいろいろ探っていこうとすると歴史の情報の渦に巻き込まれ、日本とはなにかと迷子になることがある。そこで正しく日本を読み解き、アイデンティティを持つ国として理解するためのキーワードを紹介する。これより日本の地が理想的な国家を建設するために選ばれ、そして数々の英雄たちが築いてきた国家であることを理解する。

■その1:大王や天皇を君主とする国家である
2800年前に誕生した天之御中主は、南九州で「高千穂峰の王国」を築いた。不思議な能力と、優れた人格を持っていたとされる。つまり実力主義徳治主義的に人びとに従われる能力、そして人格を兼ね備えていた。これは有明海を望む「大和国(やまとのくに)」、邪馬台国での王朝にも続いていく。そして場所を変え、奈良において4世紀頃から大和政権が誕生する。その後は歴史が示すとおり、天皇を主体とした国家が現代まで続いていく。

■その2:祭政一致型で最も力を発揮する国
祭政一致とは、祭祀、まつりごとと政治とを一致で行うこと。自然や神に対して祭りを通して民衆一体となって感謝をささげる、その祭祀の取りまとめを君主が行うこと。そして神からの神託を受け、政治を行っていくこと。この2つが古来は一致していた。神託を降ろすため、巫女型の女王が次元の異なる存在からのメッセージを受信したり、古代の大和朝廷においては語り部という高級霊を降ろす専門家が存在していた。ただし、惑わし、誘惑もあるため本物かどうかは玉石混淆、見極める力が必須。有能だが増上慢型の権力者は惑わしにより落ちていった。

■その3:ミッション達成型志向の政治
つねにミッションがあり、目標達成を目指して君主や英雄が出て国を変えてきた。島国ではあるものの世界の影響も大きく受けた国であった。
・小国の集まりから連合国へ(弥生~古墳)
・連合国から朝廷へ(古墳)
・中国や朝鮮からの儒教や仏教の輸入による民度の向上
律令国家体制の確立
・仏教の再興
・蒙古襲来に備えた武士の台頭
・天下統一
・江戸期における文化(元禄、化政)
明治維新
関税自主権の撤廃
・レイスウォー
・経済復活
・そして・・・

■その4:テクノクラートのサポート
日本には「テクノクラート」のサポートがつねにあった。科学、技術、経済、社会政策など高度な技術によって国をサポートしてくれる集団がいた。例えば、王仁博士、阿知使主、秦氏蘇我氏であったり、中国への遣使(鑑真含む)や、新羅百済への遣使、天正遣欧少年使節、御用外国人、岩倉使節団、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカなど。時代によってスキームを変えながら貪欲なまでに外国の技術を吸収してきた。0から1にすることは弱いというか役目ではない。しかし1を10にする力、外から取り入れたのちそれが「道」となるまで究極的にモノゴトを高め、完成させていく日本のチカラ。ちなみにテクノクラートの中でも蘇我氏は権力者サポート型、藤原氏摂関政治で支配色強めなのかもしれない。

■そして、原点回帰の時代へ
そして1989年日本は先頭に立っていた。世界に目指すべき正解はみつかりにくくなっていた。30年の時をさまよってきた。現代文明とは何か。ある意味では「信仰」から「科学」への挑戦といえるかもしれない。古い時代にアニミズムユダヤ、キリスト、イスラム儒教道教、あるいは英雄たちの活躍と言った神話が出そろっていた。いまこそもう一度日本が、気候変動、未知のウィルス、戦争時代に、戦いに疲れ果てた時代を「和のチカラ」でまとめていく時代ではないだろうか。そして令和という元号の音韻の意味は、ダブルゼロ、原点に回帰する時代。気候変動時代、物質がありふれていたが思うように手に入らなくなっていく時代において、自然への感謝、調和を目指す、その盟主としての役割を課せられているといえるのかもしれない。
<参考>
テクノクラート - Wikipedia