シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

132.遺伝子解析④:渡来人の中に日本人がいるナゾ

ここまで日本人のDNA、ルーツ、古事記と建国史を示した。ここでは2021年頃にDNAの結果から提示された「渡来人の中に日本人がいた」というナゾを紹介する。どういう意味だろうか。また、なぜそのような歴史が存在するのだろう。
■遺伝子解析結果の振り返り
過去の記事121~123において遺伝子解析の結果を次の①~③でオシント情報より示した。①では「現代人は弥生人に近い」ことを示した。②では渡来人由来のゲノム比率は「近畿・北陸・四国で高く、滋賀で最大」となることが示された。③では現代日本人は「チベットアンダマン諸島と同じグループ」に属する。また古代ユダヤ人とは「直接同じグループではないが、1つ上の階層では同じ」ことを示した。さて、日本人とユダヤ人はいったいどういう結びつき方をしていくのか。本記事ではその手がかりとなる「渡来人の中に日本人がいる」を紹介する。実際にその謎を解くのは別記事となる。
■DNAの最新研究
「122.遺伝子解析②」の元となる研究は「日経サイエンス202108号、特集ヤポネシア ゲノムから解き明かす縄文人弥生人のルーツ」と同じであることがわかった。個人的に、2週間ほど前に。その特集で示されていた遺伝子分野の日本人のルーツに関する最新研究結果を3点共有する。

■1.長崎県佐世保市・下本山陰山遺跡から出土した人骨のゲノム解析
2019年、国立科学博物館の篠田、神澤らによる研究。長崎県佐世保市にある下本山陰山遺跡から出土した2体の人骨を用いたゲノム解析。結果は次の通り。
前提知識:九州北部で見つかる弥生時代の人骨では次の①②がいる。
①:縄文要素の強い西北九州弥生人
②:渡来系弥生人
仮説:下本山陰山遺跡から出土した2体は「①」ではないかと想定。
結果:予想外であった。次の通りであった。
・渡来系。骨の形態は縄文的な特徴。しかしゲノム的には渡来人との混血が起きていた
・既に何世代か混血が進んでいるもののゲノム解析・主成分分析によるマッピングによれば現代人と縄文人の中間に位置し途中段階にある

■2.佐賀県唐津市・大友遺跡から出土した人骨のゲノム解析
上述の篠田らのチームによる研究。大友遺跡から出土した1体の人骨を用いたゲノム解析。下本山陰山遺跡とも近い。
結果:渡来人のゲノムをまったくもたない縄文系だった。またこの人骨は「支石墓」と呼ぶ形式の墓から見つかった。これは渡来人の文化を持つが婚姻・血縁関係を持たなかったことを意味する。
問題提起:記事では渡来人とはどんな集団であったのだろう、と疑問が提示された。

■3.福岡県那珂川市・安徳大遺跡の人骨のゲノム解析
渡来人とは何なのかの手がかりを得るべく行われた解析。安徳大遺跡は紀元前1世紀頃の遺跡。
結果:現代人と同じ特徴、単純に考えると「日本に渡来する前に既に混血していた」ことに。

■これまでの遺伝子結果より
渡来系にはUターン型の日本人がいる。日本から朝鮮半島に行き、また戻って来た人たちだ。これがつまり「現代日本人=渡来人と近い」がいる。また、縄文人+大陸の人種=現代日本人とはならない。さらには現代中国人、現代韓国人とも違う。このゲノム成分はどのような人種のゲノムを示すのか。
■証明すべきこと
つまり、遺伝子的見地から疑問が提示されているため、今度は歴史的見地から、
①日本人が朝鮮半島に移動、その後朝鮮半島から日本に戻ってきた
②日本人、中国人、韓国人以外のゲノム成分とは何か
この①②のナゾを証明できれば、日本人とは何かを解くことができる
■感想
・「支石墓」は朝鮮で見られる埋葬文化。中東でもみられる。別記事でも解説する。
■今後
まず「日本の歴史のみかた」や、縄文系日本人にとって弥生~古墳時代の「銅鐸」や「古墳」「埴輪」が何であったのかを解説する。そのうえでユダヤ人がヘブライ王国崩壊後、移動と混血を経て東の国にたどり着くまでの歴史を紹介していく。
<参考>
日経サイエンス202108号
長崎県 下本山岩陰遺跡 https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/221
那珂川市 - Wikipedia