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374.倶留尊山や狗留孫峡のクルソンとは何か

滋賀の甲賀市伊賀市曽爾村(そにむら)があり、滋賀と三重の県境に倶留尊山(くろそやま、クルソン山)がある。クルソンとは何か。関連する事象を取り上げ、その起源に迫る。次の流れで紹介していく。

・倶留尊山(くろそやま)
・倶留尊山の石仏
・宮崎県の狗留孫峡(くるそんきょう)
・羽山積神社(狗留孫神社)
山口県の狗留孫山
八大竜王
娑伽羅(しゃがら)と健磐(たていわ)
・クルソンと過去七仏
・賢劫経巻第一
・まとめ

■倶留尊山(くろそやま)

三重県津市と奈良県宇陀郡曽爾村にまたがる高見山地の山。
標高は1037m。

↓はgooglemap、倶留尊山

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■倶留尊山の石仏
所在は奈良県宇陀郡曽爾村伊賀見。
倶留尊大権現とも。
古来からの祭祀遺跡だろうか。
↓はgooglemap、倶留尊山の石仏

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↓はじゃらんnet、倶留尊山の石仏の紹介ページ

www.jalan.net

クルソンの名前のつく場所は他にもみられる。宮崎、山口のクルソンを紹介する。

■宮崎県の狗留孫峡(くるそんきょう)

宮崎県にも狗留孫がみられる。

狗留孫峡の所在は宮崎県えびの市
↓はgooglemap、狗留孫狭

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■羽山積神社(狗留孫神社)
栄西の勧請(かんじょう)によるものとされる。
現在は羽山積神社であるが、旧称は狗留孫山権現社、または熊野三社権現とされる。
明治8年(1875年)に改名している。
神仏分離令(1868年)などの影響と考えられる。
↓はgooglemap、羽山積神社(狗留孫神社)

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↓宮巡・羽山積神社によれば、次の伝説が残るという。

出典:宮巡 ~神主さんが作る宮崎県の神社紹介サイト~ | 羽山積神社(はやまつみじんじゃ) 狗留孫神社

栄西禅師がこの山を訪れた際、石率都婆を拝した。
そして山の嶺に祠を建て、熊野権現を勧請した。
建久2年(1191年)、狗留孫山多宝院端山寺を建立した。
端山寺は明治時代の初めには廃寺となった。

三国名勝図会(さんごくめいしょうずえ)によると、

太古に八大龍王
・健磐(たていわ)
・婆竭羅(しゃがら)
の二竜王がいた。

健盤竜王が狗留孫仏に請い石率都婆を建てた。

婆竭羅竜王はこれを喜んで観音菩薩にお願いして石率都婆を立てた。

拘留孫が立てた率都婆石には大般若経を、もう一方の観音石には華経を写したという。

ちなみに率都婆(そとば)サンスクリット語ストゥーパを語源とする。
中国に渡った際に「卒塔婆」の文字が当てられ、日本に入って来た。

三国名勝図会:江戸時代後期に薩摩藩が編纂した薩摩国大隅国、及び日向国の一部を含む領内の地誌や名所を記した文書

↓はgooglemap、羽山積神社の近くに卒塔婆石がある

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山口県の狗留孫山

山口県にも狗留孫山は存在。

山口県下関市の狗留孫山は標高は616.3m。

↓はgooglemap、下関市豊北町の狗留孫山

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狗留孫山の近くに修禅寺が存在する。

行基がこの山にて修業したとされる。

また、栄西弘法大師とも関りがある。
↓はgooglemap、狗留孫山 修禅寺

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↓は狗留孫山 修禅寺の歴史紹介ページ。他のクルソン山同様に古来からの巨石が信仰の対象となっている

www.kurusonzan.or.jp

山口県ではほか山口市にも狗留孫山がある。
麓には法華寺がある。また、八合目には金徳寺跡があるという。
↓はgooglemap、山口県山口市の狗留孫山

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↓はgooglemap、狗留孫山法華寺

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八大竜王

竜族の八王。
法華経に登場する。
仏法を守護するとされる。
古代インドに起源があるとされる。
ナーガは、蛇の精霊あるいは蛇神で半身半蛇の姿とされる。
中国や日本では竜の姿とされる。

娑伽羅(しゃがら)と健磐(たていわ)

八大竜王の一人、娑伽羅(サーガラ、しゃがら、Sagara)で大海、龍宮の王。

健磐について。
健磐龍命(たけいわたつのみこと)阿蘇都彦命(あそつひこ)とも同一とされる。
健磐龍命阿蘇神社(あそじんじゃ)に祀られる12柱の神の一人。
阿蘇神社は全国に450社あるとされる。
例えば東京都羽山市の阿蘇神社は推古天皇601年の神託によって創建されたとされる。
阿蘇神社・総本社の創建は孝霊天皇9年(伝)とする。
実際は上記からして601年以前の創建か。

■クルソンと過去七仏

クルソンとは何か。

クルソンは過去七仏の第四仏。
梵語の「krakucchandha-buddha」の音写とされる。

現在賢劫における千仏の始めの仏であるという。

(こう)とは宇宙論的な時間の単位で

・荘厳劫:過去の大劫
・賢劫(げんごう):現在の一大劫(成、住、壊、空の四劫)
・星宿劫:未来の大劫

の関係があるとされる。

釈迦仏までに(釈迦を含む)登場した7人の仏陀過去七仏(かこしちぶつ)という。

古い仏から順に

・毘婆尸(びばし)
・尸棄(しき)
・毘舎浮(びしゃぶ)
・倶留孫(くるそん)
・倶那含牟尼(くなごんむに)
・迦葉(かしょう)
釈迦牟尼(しゃかむに)

とされる。

↓はwikipedia過去七仏

ja.wikipedia.org

■賢劫経巻第一

クルソン、賢劫に関連して。
761年に僧の光覚(こうかく)が書写したもの。
奥書に「奉為皇帝后」とあり、淳仁天皇、同天后のために書写したものとされる。

↓は文化遺産オンライン、賢劫経巻第一

bunka.nii.ac.jp

■まとめ

クルソンの地名は次の場所などに残る。
・奈良・三重倶留尊山(くろそやま)
・宮崎県:狗留孫峡(くるそんきょう)、羽山積神社(狗留孫神社)
山口県:狗留孫山、修禅寺
を取り上げた。

いずれも古来から巨石が残る場所である。

クルソンは法華経の影響がある。

のちの栄西(1141年~1215年)の影響がみられる。

<参考>
三国名勝図会 - Wikipedia
八大竜王 - Wikipedia
ナーガ - Wikipedia

法華経 - Wikipedia
阿蘇神社 - Wikipedia
健磐龍命 - Wikipedia

過去七仏 - Wikipedia
劫 - Wikipedia
賢劫経 - Wikipedia