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283.福岡県福岡市博多区の那珂八幡古墳

最古級の前方後円墳のひとつ、福岡県福岡市博多区にある「那珂八幡古墳(なかはちまんこふん)」を紹介。また、出土している三角縁五神四獣鏡から他地域とのネットワークが推定される。次の流れで紹介していく。

・那珂遺跡群(なかいせきぐん)
・那珂遺跡(なかいせき)
・那珂八幡古墳(なかはちまんこふん)
・那珂八幡古墳出土の三角縁五神四獣鏡と同じ鋳型の鏡
・那珂八幡宮(なかはちまんぐう)
・吉備の備前車塚古墳
・椿井大塚山古墳(つばいおおつかやまこふん)

■那珂遺跡群(なかいせきぐん)
旧石器時代から中世にかけての複合遺跡。
その遺跡に、那珂遺跡や那珂八幡古墳などがある。

以下のような集落や古墳が見つかっている。
弥生時代中期後半から後期(紀元前1世紀~後2世紀)の集落や墓地
古墳時代前期(3世紀後半~4世紀)の道路と古墳群
古墳時代後期から奈良時代(6世紀~8世紀)の集落と官衙(役所)
・中世(12~16世紀)の集落

うち古代の重要な遺跡と古墳を紹介していく。
↓は福岡市の文化財、那珂遺跡群
bunkazai.city.fukuoka.lg.jp

■那珂遺跡(なかいせき)
所在は福岡県福岡市博多区那珂6丁目。
出土した遺物から縄文時代晩期末の二重環濠集落跡であることが判明。
集落を囲む環濠が5m間隔で平行して走る。
濠内から夜臼式(ゆうすしき)土器や石器が出土。
他の地域の環濠集落に板付遺跡や有田遺跡がある。
しかしそれは弥生時代初頭であり、那珂遺跡はそれらよりもさらに古い。
↓は福岡市の文化財、「那珂遺跡」

bunkazai.city.fukuoka.lg.jp

■那珂八幡古墳(なかはちまんこふん)
所在は福岡県福岡市博多区那珂一丁目。
形式は前方後円墳
築造は3世紀中葉。
大きさは全長約75m超、高さは8m。
周囲に鍵穴形の周溝がある。
2基の主体部がある。
第1主体部は未調査。
第2主体は長さ2.3mの割竹形木棺の直葬三角縁神獣鏡と玉類が出土している。
三角縁神獣鏡は直径約21.8cmの三角縁五神四獣鏡。

■那珂八幡古墳出土の三角縁五神四獣鏡と同じ鋳型の鏡
同じ鋳型を用いてつくられた鏡がいくつかある。
京都府椿井の大塚山古墳
岡山県岡山市湯迫の車塚古墳
・(伝)奈良県奈良市富雄丸山古墳
アメリカ・ワシントンD.C.のフリーア美術館所蔵品
がある
↓は福岡市の文化財より、那珂八幡古墳

bunkazai.city.fukuoka.lg.jp

■那珂八幡宮(なかはちまんぐう)
神社境内で弥生時代の銅戈鋳型が発見された。
銅戈(どうか)とは青銅で作られた戈(か、ほこ)
那珂八幡宮の祭神は八幡神応神天皇神功皇后応神天皇の母)玉依姫
↓はgooglemap、那珂八幡宮、掲載されている投稿者の写真の中に那珂八幡宮縁起が確認できる

maps.app.goo.gl

以下で那珂八幡古墳で出土の「三角縁五神四獣鏡」と同じ鋳型の鏡が発見された古墳を紹介。

■吉備の備前車塚古墳
所在は岡山県岡山市中区四御(しのごぜ)・湯迫(ゆば)
形状は前方後方墳
墳丘長は48.3m。
古墳時代初期頃の築造。
石室内から三角縁神獣鏡11面をはじめとする多数の副葬品が出土している。

■椿井大塚山古墳(つばいおおつかやまこふん)
所在は京都府木津川市山城町
形状は前方後円墳
築造は3世紀末。
墳丘長は175m。
竪穴式石室、内部に割竹型木棺が存在。
銅鏡が36面以上見つかっている。

■感想
・那珂遺跡群は縄文から弥生にかけての節目となる考古学上重要な遺跡である。
・博多(渡来人の来訪を監視、武力を備えた一大卒のあった場所)と岡山(吉備)や京都方面などとの連携があったことが伺える。

<参考>
那珂遺跡 - Wikipedia
那珂八幡古墳 - Wikipedia
銅戈 - Wikipedia
備前車塚古墳 - Wikipedia
フリーア美術館 - Wikipedia
椿井大塚山古墳 - Wikipedia