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296.大分県の川部・高森古墳群

イザナギイザナミの出身地である大分県では古墳時代のはじまりにはどのようなものであっただろうか。そこで今回は古墳時代より前の時代から周溝墓などもみられる地域、川部・高森古墳群(かわべ・たかもりこふんぐん)を取り上げる。次の流れで紹介していく。

・川部・高森古墳群(かわべ・たかもりこふんぐん)
大分県立歴史博物館
・1.赤塚古墳
・2.免ヶ平古墳(めんがひらこふん)
・3.福勝寺古墳
・4.車坂古墳(くるまざかこふん)
・5.角房古墳
・6.鶴見古墳
・まとめ

■川部・高森古墳群(かわべ・たかもりこふんぐん)
所在は大分県宇佐市大字高森字京塚。
駅館川右岸の台地に位置。
6基の前方後円墳を中心とする約120基の円墳や周溝墓による古墳群。
3世紀から6世紀において同地域に古墳が建造された。

大分県立歴史博物館
古墳群内に位置する歴史博物館。
↓は大分県立歴史博物館の公式サイト。県立宇佐風土記の丘歴史民俗資料館を前身とする施設である。
歴史博物館 - 大分県ホームページ

■1.赤塚古墳
形式は前方後円墳
大きさは全長57.5m
築造は3世紀末。
九州最古の前方後円墳とされる。
周囲に空濠(水のない堀)がある。
その堀の大きさは幅8.5m~11m。
石室があり形式は箱式石棺である。

副葬品に以下のものが出土。
三角縁神獣鏡:4面
・三角縁龍虎鏡:1面
・碧玉管玉
・鉄刀片
・鉄斧

なお銅鏡は、
・福岡県の石塚山古墳、原口古墳
京都府の椿井大塚山古墳
から出土した鏡と同笵鏡(どうはんきょう、同一の鋳型あるいは原型を使用して鋳造された鏡)とされる。

■2.免ヶ平古墳(めんがひらこふん)
本来は全長で約50mの前方後円墳であったとされるが、
現状では直径30.5mの円墳の形状をしている。
墳丘の周りに空濠がある。
4世紀後半の築造とされる。
赤塚古墳(3世紀後半)の次に造られた古墳とされる。
竪穴式石室、箱式石棺が見つかっている。

<竪穴式石室>
・後円部中央に位置
安山岩で造られている。
・割竹形木棺が納められている
 副葬品には以下のものが出土している
 ・斜縁二神二獣鏡
 ・三角縁三神三獣鏡
 ・硬玉製勾玉、鉄剣
 ・鉄槍
 ・斧
 ・刀子
<箱式石棺>
・後円部南寄りに位置
・女性、年齢は若い人物とされる人骨
・斜縁二神二獣鏡
・硬玉製勾玉
・碧玉製管玉
・石釧
・刀子
などが出土

免ヶ平古墳には2基の埋葬施設が存在。
その中から
・鉄製品(武器、農耕具など)
・装身具(3面の銅鏡、勾玉など)
が出土している

↓は大分県立歴史博物館、平成26年 新指定国重要文化財免ヶ平古墳出土品より
平成26年 新指定国重要文化財免ヶ平古墳出土品! - 大分県ホームページ

■3.福勝寺古墳
春日山古墳とも。
形式は前方後円墳
大きさは全長78m。
築造は5世紀前半と推定されている。
内部は調査されていない。

■4.車坂古墳(くるまざかこふん)
形式は前方後円墳
大きさは全長58m
築造は5世紀、福勝寺古墳に次に築造されたと推定されている。
空濠がある。

■5.角房古墳
形式は前方後円墳
大きさは全長46m。
前方部が一部消失。
築造は5世紀で福勝寺古墳、車坂古墳に次ぐ築造と推定されている。
空濠がある。

■6.鶴見古墳
形式は前方後円墳
大きさは全長31メートル
築造は6世紀中頃。
川部・高森古墳群で最後の前方後円墳とされる。
横穴式石室がある。
副葬品に
・ガラス製小玉
・銅釧
・耳飾
・鉄鏃
・刀子
・土師器
・須恵器
などが出土

■まとめ
川部・高森古墳群では周溝墓もみられるとされる。
また、
・赤塚古墳の築造は3世紀末。
    三角縁神獣鏡、三角縁龍虎鏡が出土。

・免ヶ平古墳は4世紀後半。
    斜縁二神二獣鏡、三角縁三神三獣鏡が出土。

・福勝寺古墳は5世紀前半

・車坂古墳と角房古墳は5世紀

・鶴見古墳は6世紀中頃

なお九州では
・福岡の那珂八幡古墳(3世紀中葉)
大分県宇佐市の赤塚古墳(3世紀後半)
などが古い前方後円墳となる。

<参考>
川部・高森古墳群 - Wikipedia
平成26年 新指定国重要文化財免ヶ平古墳出土品! - 大分県ホームページ