シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

131.西暦535年~西暦536年に起きたクラカタウ、エルサルバドルの大噴火と古代日本への影響

前記事で538年の仏教の導入、聖徳太子の活躍を紹介した。その聖徳太子だが、死亡理由はウィルスによる感染症天然痘での死亡とされる。この飛鳥時代には渡来人の渡海が増えるとともに、感染症が流行っていた。原因不明の感染症に対し、人々は神仏に救いを求めることになる。感染症の原因を引き起こした原因のひとつが「世界規模での火山噴火」による火山灰であると考えられる。ここでは記録に残る2つの火山の活動を紹介する。次の順で紹介する
・西暦535年または536年、クラカタウ
・西暦536年、エルサルバドル
・世界中でおこった気候変動とペストの流行
・アジアへの影響
・古代後期小氷期

■西暦535年または536年、クラカタウ
クラカタウはインドネシアのジャワ島とスマトラ島の中間、スンダ海峡にある火山島。
535年(または536年)に噴火した。ちなみに、1883年にも噴火し津波を引き起こした。デイヴィッド・キーズの著書「西暦535年の大噴火」が詳しい。この噴火によりローマ帝国の分裂の原因となる。また中米のテオティワカン文明にも影響を与え、民衆の反乱を引き起こして崩壊の原因をつくったとされる。また書籍では中東、東ローマ帝国、ヨーロッパ西部でのペストの発生状況がまとめられている。それによればペスト流行は一度だけでなく、西暦540年~西暦700年頃にかけて何度も発生している。

■西暦536年、エルサルバドル
536年、中央アメリカ、エルサルバドルの火山が爆発したとされる。<参考>で紹介するサイトや、YOUTUBEの動画が詳しい。特に参考サイト④を確認頂きたい。

■世界中でおこった気候変動とペストの流行
クラカタウ、エルサルバドルと立て続けに噴火が起こる。また火山の発生、飢饉、死者が増える、ネズミが繁殖、ペストが増えるまでには数年のタイムラグがある。さらには1700年前のことでもある。このため2つの火山のどちらの影響かは区別しづらいと思われる。エルサルバドルの噴火を紹介しているソースによれば、火山の噴火により火山灰が太陽を覆い、空が薄暗い状態が少なくとも1年間続いたとされる。これが気温の低下をもらたし、結果、飢饉とペストの流行をもたらした。ローマ帝国では約5000万人ほど死亡したとされる。死者を健常者が運ぶなどし、間違った対処で感染が拡大したそうだ。

■アジアへの影響
中国の「南史」には空から黄色い灰が降って来たという記述がみられるとされている。また夏に雪も降ったとされる。朝鮮(韓国)では当時の人口の7~8割が死亡したのではないかとされている。

■古代後期小氷期
536年~660年頃までの寒冷化を「古代後期小氷期」という。「木の年輪」の成長具合で判別できるそうだ。その木の幅が狭いと日光や水の影響があったとされる。

■日本ではの疫病流行
少なくとも570年、585年で記録されている

■感想
・仏教の伝来などが火山噴火に伴う気候変動によるペストの流行が一致している
・過去の陰謀論には間違いも多いのではないか。聖徳太子は622年の死亡だが、太子の妻や母も同じ病で倒れている。さらに斑鳩宮が焼かれている。それは感染症まん延の対策の結果であり、決して当時の蘇我氏などが陰謀によって暗殺した、などではないように思う。
<参考>
・①:デイヴィッド・キーズ「西暦535年の大噴火人類滅亡の危機をどう切り抜けたか」
・②:世界史が教えてくれる!あなたの知らない日本史

・③:カラパイア:人類史上最悪の年は西暦536年説。巨大な霧が太陽から光を奪い世界が闇落ち(米歴史学者) : カラパイア (karapaia.com)

karapaia.com
・④:YOTUBE動画より

www.youtube.com
・⑤:世界の窓:黒死病/ペストの流行
・⑥:クラカタウ - Wikipedia