シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

47.東京裁判とはどんな裁判だったか

日本の戦後の価値観を形成した象徴的な出来事、「東京裁判」。この東京裁判にも戦勝国の思惑が見られる。当時情報が少なかった中で操作された報道(プレスコード)もある。非常に難しい問題である。東京裁判については様々な書籍で議論がされている。ここではより原点、事実に近い情報をまとめていく。次の流れでみていく。
・2つの裁判
ポツダム宣言
・開催概要
・起訴内容、被告、判決
・パール判事の判決書

■2つの裁判
 連合国がドイツ、日本の指導者の罪を追及することを目的とした裁判を開く。「ニュルンベルク裁判」、「東京裁判」である。「東京裁判」の根拠を「ポツダム宣言」としました。つまり、戦争後につくった宣言を根拠として、過去の事件を裁くことになる。なお、ニュルンベルク裁判所条例にならって、「極東国際軍事裁判所条例」が制定されました。

ポツダム宣言
これは1945年7月26日、ベルリン郊外にある「ポツダム」で行われた日本への降伏要求の最終宣言である。イギリス、 アメリカ、中華民国から日本に対する要求・全13か条で構成される。英国首相・チャーチル、米国大統領・トルーマン、中国政府首相・蒋介石が発表。

■開催概要
・開催期間:1946年5月3日に開始し、1948年11月12日に終了
・目的:日本の戦争責任の追求
・参加国:米、英、中、ソ等、太平洋方面の戦勝国9連合国と独立前のインド、フィリピンを加えた11ヶ国
・裁判の根拠:ポツダム宣言
・その他:2年半の中で400名を超える人々が証言台に立った。

■起訴内容、被告、判決
・起訴内容:主に平和に対する罪を追及
・東アジア支配、世界支配を企てた共同謀議への参加
・中国、アメリカ、英連邦、オランダ、フランス、ソ連などに対する戦争の遂行
・「戦争法規違反の命令・授権・許可」と「戦争法規遵守の義務の無視」
・被告:東條英機元首相以下28名の、政界および軍部の要人
・判決:票決は8対3で、全被告が有罪とされた。ただし裁判終了前に亡くなった2名、 発狂により免訴された1名を除くため25人となる。 
・票決について
 無罪を訴えた判事がいる。フランスのアンリー・ベルナール、インドのラーダ・ピート・パル、オランダのレーニングの3人。天皇の退位、訴追は今後の統治に必要とし、なしとした。また無罪=悪くないという意見であったわけではない。

・A級、B級、C級別
 A級「平和に対する罪」:23名
 B級「通常の戦争犯罪」:7名
 C級「人道に対する罪」:なし
 なお、A、B、Cと聞くとAは罪が重いと聞こえてしまう。しかしこのA・B・Cは罪の種類(カテゴリ)である。

■パール判事の判決書
 判決に際して判事団の中から、いくつか意見が出される。その中で最も注目されたのがインド代表判事のパール判事の判決書である。パール判事は東京京裁判以前は主に税法専門の弁護士として活動、それ以後は国際連合国際法委員長や仲裁裁判所裁判官として、国際法に関与された。当時は国際法専門だったわけではないから参考にならないとの意見がみられる。しかしその論理だと、日本国憲法マッカーサー草案が元になっおり、憲法学者でない方たちがつくったので参考にならない、改正すべしが成立する。

 判決書は7部構成となっている。
  第一部 予備的法律問題
  第二部 侵略戦争とは何か
  第三部 証拠及び手続きに関する規則
  第四部 全面的共同謀議
  第五部 裁判所の管轄権の範囲
  第六部 厳密なる意味における戦争犯罪
  第七部 勧告
 以下の内容を含も(参考をもとに要約した)
 ・戦勝国によって事後に作成された犯罪の定義によって裁判を行うことへの疑問
 ・原始爆弾の投下を命令し、授権し、許可した者の責任はどうなるのか
 ・「平和に対する罪」と「人道に対する罪」は戦勝国が作った「事後法」である
 ・事後法をもって裁くことは国際法に反する
 ・ゆえに無罪を主張するが戦争や支配の正当性を無罪としていない
 ・満州事変以降の満州での軍事活動は非難、法律的にも正当化できない

■感想
・世界的な感情面での「贖罪」的な意味を持つ裁判
GHQが日本での占領を完成し、つぎのシステムを構築するまでの時間稼ぎ
アメリカ政府が東京大空襲、広島・長崎での原爆投下による一般市民の大虐殺を正当化、国内で起こるかもしれない批判をかわすための断定的な意味あい

以上のような意味あいを持つと考えられる。

<参考>
プレスコード - Wikipedia
東京裁判とニュルンベルク裁判
極東国際軍事裁判 - Wikipedia
ポツダム宣言 - Wikipedia
ラダ・ビノード・パール - Wikipedia
国際法の観点から考える東京裁判の正しい理解 /  佐藤和男 氏
https://www.lec-jp.com/h-bunka/item/v260/38~43.pdf