シン・ニホンシ

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87.ヴェノナ文書公開で明かされたコミンテルンに攪乱されたアメリカと日本

ヴェノナ文書によって日米開戦はコミンテルンによって誘導されたものであることが判明した。コミンテルンとは何か。どのような工作活動が行われたのだろうか。特に日米開戦に至った経緯に関わるところに焦点を絞る。次の流れで紹介していく。
※江崎道朗氏の書籍「日本は誰と戦ったのか」を参考としている。

コミンテルンとは
・ヴェノナ文書とは
真珠湾攻撃に関わる説
ヤルタ会談の交渉
スターリンの日本、アメリカ、中国での秘密工作活動
・尾崎秀美(おざきほつみ)
ハルノート原案への工作
・和平交渉の妨害
・ヤルタ密約は無効となった
・逆コースの意味
・ヴェノナ文書公開後のジョージ・W・ブッシュ大統領の発言
第二次世界大戦のにおける真の勝者

コミンテルンとは
1919年~1943年まで存在した共産主義政党による国際ネットワーク組織。
レーニンによって創設され、スターリンが謀略に活用した。
この組織の対外工作により世界各国において共産党が創設された。
第2次世界大戦の終結が長びき、そして戦後も混乱し続けている。

■ヴェノナ文書とは
戦時中のアメリカやソ連工作員が行っていた秘密の交信活動に関する機密文書。
戦後50年にあたる1995年にアメリカ政府によって公開された。
ソ連工作員ルーズベルト政権下で反日活動を行っていたとされ、その誘導された情報に基づきアメリカや日本は操られ、戦わされていたことがはっきりした。

真珠湾攻撃に関わる説
ヴェノナ文書公開後、公開以前の①~③の説に加えて新たに④が加わった。

①日本軍のだまし討ち:日本軍悪者説

ルーズベルトが暗号を知りながら知らないふり:ルーズベルト責任あり説

③日米双方が国益を追求した結果、戦争になった説

スターリンが秘密工作員を使い日米和平交渉を妨害、日米戦争を誘導した:スターリン工作説

ヤルタ会談の交渉
1945年、ソ連のヤルタにて英米ソの3か国の首脳によるヤルタ会談が行われた。
その内容はソ連にとって有利となる次の①②が組み込まれた。

①東欧諸国を手に入れること

②中国大陸、南樺太、千島列島を手に入れることを認めた

①によって、のちに鉄のカーテンがしかれた。
交渉は通常と異なる変則的な形で行われた。
まずソ連の対日戦参加の条件となるヤルタ密約の草案をソ連側がつくった。
アメリカ側の修正要求は軽微なものとなった。
交渉も主にスターリンからの指示で動くモトロフ外相と、アメリカのハリマン大使の間で行われた。アメリ国務省を通じた交渉ではなかった。
連邦議会の承認を得ず、アメリ憲法に違反する交渉となった。

スターリンの日本、アメリカ、中国での秘密工作活動

スターリンが3か国で情報戦を展開していた。

①日本:工作員リヒャルト・ゾルゲが指揮する組織によって「対ソ警戒の北進論」から「英米と対立する南進論」に誘導した

アメリカ:ソ連KGBの前身である内務人民委員部の指示により、アメリカ財務次官補ハリー・デクスター・ホワイトが日米の和解を妨害した

③対中・対米:ソ連工作員ラフリン・カリーによって蒋介石の顧問オーウェン・ラティアを通じて日米交渉を妨害した。

■尾崎秀美(おざきほつみ)
ゾルゲは日本において尾崎秀美や西園寺公一(きんかず)を使い工作活動を行った。
尾崎は朝日新聞記者でリヒャルト・ゾルゲの指揮下にあったとされる。
新聞記者の立場から中国政治情勢の専門家として当時の政治家の情報源として頼りにされた。
これを利用し、ソ連が有利となる情報誘導を行った。

ハルノート原案への工作
ソ連のヴィタリー・パブロフがハリー・デクスター・ホワイトに指示。
「日本が保有する戦艦、飛行機の半分をアメリカに貸出すこと」「残りの半分をアメリカに売ること」と実質無防備化させる無理な案を突きつけ、交渉を混乱させた。

■和平交渉の妨害
当初の交渉ではアメリカが石油禁輸を解除すれば、日本は南部仏印から直ちに撤兵。
そして日中和平がまとまれば仏印から完全撤退するとの線で協議を進めていた。
しかし、ハル国務長官との和平交渉を妨害した。
そしてハリー・デクスター・ホワイトがモーゲンソー財務長官の名を使って反日感情をあおり、ルーズベルト大統領を誘導した。

■ヤルタ密約は無効となった
アメリカ側では戦後の時点でソ連の動きに工作活動に気づいていた。
しかしヴェノナ文書の内容のようにここまで大きな工作活動が行われていたとは認識できていなかった。
1952年、サンフランシスコ平和条約の批准時にヤルタ極東密約の審議がなされ無効となった。
アメリカでは議会の承認なく大統領が他国の元首と結んだ協定、約束は無効にできる。

■逆コースの意味
GHQ占領後の民主化・非軍事化の逆をたどったことは「逆コース」と言われる。
この逆コースは、コミンテルンの謀略に気づいたアメリカが共産主義を恐れ、日本を緩衝地帯とするために行ったもの。

■ヴェノナ文書公開後のジョージ・W・ブッシュ大統領の発言
2005年5月ブッシュ氏はラトビアを訪問、首都リガで演説を行った。
ヤルタ会談での合意に関して言及、「安定のため小国の自由を犠牲にした試みは反対に欧州を分断し不安定化をもたらす結果を招いた」と発言した。

第二次世界大戦のにおける真の勝者
次のような考えがある。

ソ連共産主義思想、領土とも拡大、真の勝者となった。

アメリカ:資本主義・自由主義を守った、しかし領土獲得は失敗。
結果「世界の警察官」を大義名分とし朝鮮、ベトナムなどへ介入した。

日本:領土を失ったが、国体維持には成功。
また東南アジアにおいて欧米からの支配を解放し、戦略的目的を達した。

以上、日本、アメリカ双方ともコミンテルンによって攪乱、互いが戦う状況に誘導されたということを取り上げた。

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<参考>
・日本は誰と戦ったのか コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ 江崎道朗