シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

105.カントが示した感性、悟性、理性で人間性を高める

人間性を向上させるには「知性」「理性」「感性」「悟性」の4つの認識力を高めていく必要があるという。これまでの人生で何を学んだか。何を実践したかが問われるのである。しかしまず人間向上のために必要なことはなんだろうか。カントの思想をフレーム化する。それがひいてはカントが示した「永遠平和のために」にもつながるだろう。
目次
・大陸合理論とイギリス経験論
・どちらも間違っていることを証明したカント
・どのように証明したのか?
・カントの主張とは?
・感性とは何か?
・悟性とは何か?
・理性とは?
■大陸合理論とイギリス経験論
哲学の分野における「モノ」の認識の考え方において2つの主張が対立していた。カント以前は「大陸合理論」と「イギリス経験論」において、2つの主張でどちらが優れているかが争われていた。
①合理派:世界にはルール、法則がある。世界を正しく認識すれば「不変の真理」にたどりつくことができるという考え方。
②経験派:不変の真理はない。経験を通じて認識できるようになる。
下記などがわかりやすい↓
大陸合理論 vs イギリス経験論 | 高橋医院
なお、大陸とはフランスなどの大陸。カントはプロイセン出身なのでドイツ。イギリスは島国。

■どちらも間違っていることを証明したカント
カントは上記の①②とも間違っていることを証明した。人間にとってわかること、わからないをはっきりさせることでこの問題に終止符を打った。

■どのように証明したのか?
人がどのように世界、モノを認識しているかを考察した。感性、悟性、理性の必要性を説いた。たとえば車の自動運転化のプロセスに例えてみる。そのプロセスには「認知」「判断」「操作」を機械に行わせる必要がある。カントの考えは機械にモノをどう認識させるかという過程と同じである。

■カントの主張とは?
人がモノを認識するためには感性、悟性が必要とした。
・感性:五感を使いモノの「情報収集」を行う力
・悟性:感性が提供する素材を「分析して判断」する力

■感性とは何か?
感性には空間と時間があり、これを使って情報収集をしているとした。
①空間:モノや世界という対象を「3次元」でとらえる
②時間:時間からモノの「動き」や「変化」をとらえる

■悟性とは何か?
悟性には4つの要素がある。これを使って分析、判断する。
①カテゴリー:量、性質、関係、様態の4つの要素により「素材」を判断する
②図式:素材をカテゴリーが分析できるよう変換する。その原動力となる「構想力」が必要とした。
③統覚:わたし自身。全ての判断や経験をまとめ、記憶していることろ。
④原則:カテゴリーの手順に誤りがないかをチェックすること

■理性とは?
感性、悟性でさばいた一次情報をもとに、二次情報化させる力。推論する力。推測することで悟性がくだした判断をまとめ、さらに高次の判断へと押し上げる。

■まとめ
・ヒトの認識の過程とは。認知、判断、実行にどのような関連があるか、要素が何かを示した。
・感性を使い情報収集、悟性を使って分析、判断する。さらに理性を使い推論する。これより高度な判断ができる。
・感性、悟性の能力が高いと一次情報の精度が高い。
・理性の能力が高いと二次情報として加工できる精度が高くさらなる情報活用ができる

■豆知識
本テーマに関連し、哲学つながりにて。
イデア論を示した古代ギリシアの哲学者「プラトン」は前427頃~前347頃(約2,400年前)の人物とされる。彼の著書「ティマイオス」および「クリティアス」で伝説の大陸「アトランティス」の存在が示されている。
・記事「95.ピリレイスの地図から推測される過去に飛行技術を持つ古代文明の存在」で示したように、古代ギリシアには何らかの古代の文献があったとされる。これは古代エジプトのピラミッドの中に文献があり、それを読んだとされている。
古代文明においてゴンドワナでは創造力、レムリアでは感性、ムーでは悟性、アトランティスでは理性、現代文明では知性をテーマとして学んでいるとされる。

<参考>
純粋理性批判 講談社まんが学術文庫
・記事「95.ピリレイスの地図から推測される過去に飛行技術を持つ古代文明の存在」
ほか