シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

121.遺伝子解析①:現代人は弥生人に近い

遺伝子解析によって日本人の遺伝子の違いがわかってきた。遺伝子を調べればそれは科学的証明ともなり、日本の歴史の真実を読み解く根拠となるだろう。いくつかの日本人は〇〇だった説の真相に終止符を打てるだろう。今回、まずは日本人のルーツ、遺伝子解析の種類、そして現代日本人、縄文人、渡来系弥生人の違いを紹介する。
■日本人のルーツ
まず日本人の人種のルーツはどこにあるのだろうか。一般的には大きくは3つ。
・北方ルート
・西方ルート
・南方ルート
過去、日本列島は大陸と陸続きとなっていた時代がある。複数ルートからタネとなる人々が移動してきた。これがいわゆるわれわれの認識するスタート地点としての縄文人だ。この時点で既に他民族国家であることを認識する必要がある。ただしこの頃、日本人という意識はないと思われる。戦国時代で天下統一という、リーダー層側では日本を意識していたが、国民側が明確に日本を意識できたのは明治維新期頃と思われる。なお天皇、朝廷、有力豪族といった中央側では既に飛鳥時代に日本国として制度と国民の両方からまとめあげようとしていたと考えられる。卑弥呼の時代では小国が乱立、違う大王、ルールのもとで暮らしをしていた。なので当時は共和国制に近いと考えられる。ちなみに渡来人がやって来た際、縄文人と渡来人の大規模な交戦の痕跡はないとされる。この理由は、歓迎または日本側が招聘(遣使、王仁博士)、渡来側が明確な意図をもって移住、または亡命(騎馬民族百済高句麗)してきたためと考える。別記事で詳述する。

■弥生は500年早くなる
弥生人とは何か。紀元前5世紀頃~西暦200年の中ごろまでを弥生時代という。土器をもとにした時代区分だが、土器スタイルの違いと稲作が一致し、稲作技術をもたらした渡来人を区別できればよい。なおこの稲作に関し近年の研究を取り入れると500年ほど早まるとされる。このため弥生時代は「紀元前1000年頃~西暦200年中頃」までが正しいとされる。なお弥生時代以前にも日本に稲はあったが、これを仕組み化、米を大量生産させるという思想、技術を持っていたのが弥生人

弥生人の区別
弥生人とは大陸から渡来してきた人たち、またはその混血。3つに区別できる。
・南九州弥生人:南方由来の渡来人と縄文人の混血にあたる。最も歴史が古い。
・西北九州弥生人長崎県付近。縄文人と渡来系弥生人との混血。
・渡来系弥生人:これが通説の認識と最も近い。卑弥呼の時期あたりで古墳建造期一歩手前に渡来してきた一団。

■遺伝子解析の前提知識
遺伝子解析といっても1つの手段だけではなく解析の手法も複数ある。またはどのような目的で行った調査なのか、どういうサンプルを使ったかで結果が異なる。例えば日本人の民族の違いをDNAで調べたいのであればアイヌや沖縄の方々も対象とするべきだ。また他国間で民族や国同士の違いを比較したい場合はそれができる対象のサンプルを取得する必要がある。主な解析の手法は3つ。

・核DNA
カラダの細胞の中に、核やミトコンドリアがある。核DNAは、遺伝は両親から均等に受け継ぐとするもの。
ミトコンドリアDNA
ミトコンドリアDNAは母親からしか遺伝しないとの考え方に基づく。受精の際に母親の卵子は大きい。かつ多数のミトコンドリアを含む。これに対して父親の精子は小さい。またわずかな量しか持たない。このため結果として母性遺伝の結果が現れるのではとし、「ミトコンドリアに着目」して測定する手法。
・染色体DNA:染色体は細胞の核の中に存在。細胞分裂する際にヒモのような形をしている。一本の糸のようになっており「2重らせん構造」となったDNAが存在する。DNAに体の設計図が入っていて、これを染色体と呼ぶ。1つの細胞が持つ染色体の数は生物の種類によって異なる。ヒトの場合は46本。1本ずつに様々な情報をもつ。細胞分裂のとき複製される。分裂した時に同じ設計図の情報を伝える。
Y染色体DNA
男性しか持たないY染色体に着目する。女性はX-X、男性はX-Yを持つ。このYが受け継がれたとき「息子」となり、そうでないとき「娘」となる。ゆえにこの「Y染色体」に着目、さかのぼれば民族の系統などを把握できるとするもの。

まとめると以下の通り
・核DNA:細胞の核から。遺伝は両親から均等。
ミトコンドリアDNA:細胞のミトコンドリアから。母系遺伝に着目。
Y染色体DNA→Y染色体から。男性しか持たないY染色体、父系遺伝に着目。

縄文人弥生人は遺伝子が異なるのか?
さて、縄文人弥生人は遺伝子が異なるのだろう。知りたいことは人類の起源。さらには日本のルーツ。しかし、それには遺伝子解析が何を目的とした調査なのか。使ったサンプルがどの国の、いつの、どのエリアなども考慮する必要がある。下記に紹介する分析では、縄文人弥生人、現代人と東アジアの人びとの遺伝子の違いの分析がなされている。
・調査:現代の日、中、韓、ベトナム、日本の縄文・弥生・現代を比較する。そのため、日、中、韓、ベトナム、日本は縄文人弥生人・現代人の対象データを区別して取得している。
・分析:下記サイト「図9:東アジアの現代人と古代人の主成分分析」を参照。
日本人のルーツをDNA、歴史書で解き明かす~弥生時代
・結果:
次のことが示されている。
 ①縄文と弥生で遺伝子は異なる。一方、現代人は弥生人とほぼ一致する。
 ②中国とベトナムは近い
 ③日本と韓国とは異なるものの他の国の中では最も近い
■感想
・「渡来人」を詳しく見ていけば真実に辿りつけるだろう。主に「時代」「民族」でみる必要がある。ただし、民族学者、歴史学者、考古学者でもないため「技術」などわかりやすいものに着目、今後整理していく。

<参考>
・下記サイト:「図1 ホモサピエンスの移動ルート」にて通説的な大陸かたの渡来ルートを確認できる↓
日本人のルーツをDNA、歴史書で解き明かす~弥生時代
母親からしか受け継がないDNAの存在、知っていますか?ミトコンドリアDNA – 株式会社HUMEDIT
・北海道立衛生研究所 眠る遺伝子
ミトコンドリアDNAやハプログループについて知りたい場合はこちら↓
ミトコンドリアDNAのハプログループでたどる日本人のルーツ|初めての遺伝子検査 (first-genetic-testing.com)