過去において何度か巨大太陽面爆発、スーパーフレアが起きていることがわかっている。スーパーフレアとは具体的には何か。またどのようにして過去に起きたことがわかったのか。それは日本でも観測されたのだろうか。次の流れで紹介していく。
・太陽フレア
・スーパーフレア
・古代に起きたスーパーフレアと測定方法
・古代に残る記録
■太陽フレア
太陽の表面が爆発する現象を太陽フレアという。
そのフレアの大きさは1万~10万km、温度は数千万度にも達するとされる。
その規模の等級によって発生の確度がわかっている。
もっとも小さなランクだと1年間の発生回数は10,000回、最も大きな等級では50年に一度の発生確率とされる。
太陽フレアが起きるとどうなるか。
8分~数日間のうちに地球にX線などの電磁波、高エネルギー粒子、プラズマなどが到達して地球上の生活にもさまざまな影響を及ぼす。大きな規模の太陽フレアが起きると、停電、通信障害、人工衛星への影響が起きるとされる。2022年にスペースX社が打ち上げた通信衛星49基のうちの40基が太陽フレアの影響で太陽光パネルが劣化して出力低下を引き起こし、落下したとされる。
↓はNHKによる記事、太陽フレアとスーパーフレアが紹介されている
■スーパーフレア
これまでに観測された太陽フレアのうち、最大規模のものは等級でいうと1859年に起きた「X45」とされる。その際、欧米の電信網において、通信障害が発生したり、火花が発生して火災が起きたとされる。また世界各地でオーロラが見えたとされる。
■古代に起きたスーパーフレアと測定方法
次の年代にて古代にスーパーフレアが起きていたことがわかっている。
・紀元前660年頃
・西暦774年~775年頃
・西暦993年~994年頃
に発生していたとされる。
では、どのようにしてわかったのだろうか。
それは木の年輪、細胞のようなものを調べることでわかる。
フーパーフレアによって発生した宇宙線が大気中の窒素や炭素と衝突すると、炭素14やベリリウム10といった元素が生成される。これを取り込んだ樹木の年輪、あるいは南極や北極などの極域の氷床を調べることで過去に地球に到来した宇宙線の量を測定することができる。
↓はAstroArts、過去において複数回の巨大太陽面爆発が発生していた
■古代に残る記録
775年に関する記述がアングロサクソン年代記、続日本紀などで記録が残る。また、767年にも新唐書や続日本紀で類似するオーロラのような現象が記述されている。
・アングロサクソン年代記
アングロサクソン史が古英語でつづられた年代記。
9世紀後半のアルフレッド大王の治世のときに編纂が行われたとされる。
774年に「空に赤い十字架と見事な大蛇が現れた」との記述があるとされる。
↓はwikipedia、アングロサクソン年代記
・続日本紀
西暦775年の5月14日の条にて「白い虹が天にかかった」とされる。
※注:原文では「白虹竟天」と記載されている。
・ドイツの修道書
西暦776年に「教会の上を燃え盛る2枚の楯が動いていくのを目撃した」との記述がみられるとされている。
また、767年頃にも発生している可能性がある。
・新唐書
767年の7月頃「太陽の脇に青色と赤色をした気が現れた」との記述があるとされる。
・続日本紀
767年、「今年の6月16日申時に東南のすみにあたりて、いと奇く異に麗き雲七色相交て立登てあり」との記述が残るとされる。
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<参考>
・続日本紀(下)全現代語訳 宇治谷猛
・775年の宇宙線飛来 - Wikipedia