石川県に続き北陸、今回は福井の古墳や遺跡を取り上げる。過去記事においては牛にまつわる信仰をテーマとし敦賀に残る渡来の伝承、都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)を取り上げたことがある。今回は福井県での古い古墳などを紹介する。次の流れで紹介していく。
・王山古墳群(おうざんこふんぐん)
・40号墳
・1、3、4、7号墓
・5、6、9、25号墓
・31号墳
・32号墳
・岡津製塩遺跡(おこづせいえんいせき)
・小羽山30号墳
■王山古墳群(おうざんこふんぐん)
所在は福井県鯖江市日の出町。
全部で54基の墳墓や古墳が確認されている。
その築造は弥生時代から古墳時代の1世紀~5世紀とされる。
・40号墳
形式は方形周溝墓。
築造は1世紀頃。
大きさは東西23.5m、南北21m、高さは推定3m。
丘陵の最高所に位置する王山における最大で最古の墳墓、盟主的墳墓とされる。
・1、3、4、7号墓
形式は方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)。
築造は弥生時代後期の3世紀。
大きさはいずれも一辺が8~12m、高さは1~2m前後。
3号墓の周溝からは土器が出土。
出土した2~3世紀にかけての土器は東海(愛知)や近江(滋賀県)と同様の特徴を持つとされ、それらの地域とネットワークがあったことが土器を通じて判明している。
・5、6、9、25号墓
形式は方墳。
築造は4世紀。
副葬品として
・5号墳:鉄刀
・6号墳:鉄剣
が出土。
なお、25号墳からは有茎尖頭器(ゆうけいせんとうき)、13000年前のものが見つかっている。
↓は鯖江市、王山古墳、各古墳の位置が図解にて確認できる
ttps://www.city.sabae.fukui.jp/kosodate_kyoiku/manabenoyakata/bunkazai/sabae_bunkazai/shiseki/ouzankofun-national.files/ouzankohunn.pamphlet.pdf
上記までは築造場所が丘陵の尾根筋、以下は丘陵の斜面の古墳。
・31号墳
形式は円墳。
築造は古墳時代前期。
大きさは直径20m、高さ2m。
埋葬形式は割竹形木棺(わりたけがたもっかん)。
副葬品は鉄剣、鉄鏃、鎌、鍬先、臼玉。
・32号墳
築造は5世紀。
大きさは直径8m前後。
埋葬形式は割竹形木棺。
副葬品に鉄剣、鉄鏃、刀子、釶(やりがんな)がある。
■岡津製塩遺跡(おこづせいえんいせき)
所在は福井県小浜市岡津。
古墳時代後期から奈良時代にかけてのもの。
合計9基の製塩炉が検出されている。
岡津式が1号炉から4号炉、船岡式が5号炉から9号炉とされる。
なお、若狭地方では土器製塩遺跡が50ヶ所確認されている。この岡津製塩遺跡は保存状態が良く香川県の喜兵衛島の製塩遺跡とともに国の史跡に指定されている。
■小羽山30号墳
所在は福井県福井市小羽町。
形式は四隅突出型墳丘墓。
出土した土器から2世紀初頭と考えられている。
北陸地方で最も古い四隅突出型墳丘墓。
大きさは33m。
埋葬形式は箱型木棺でその大きさは3.3m。
出土品は鉄剣や首飾りの玉。
出雲の西谷3号墳と同時代の築造。
埋葬の祭祀が酷似しているとされる。
出雲との関係があったことが伺える。
↓はgooglemap、小羽山30号墳
■まとめ
・王山古墳群(おうざんこふんぐん)の所在は福井県鯖江市日の出町。墳墓や古墳による古墳群。
うち40号墳の形式は方形周溝墓、築造は1世紀頃。
1、3、4、7号墓は同じく方形周溝墓、弥生時代後期の3世紀の築造。出土した2~3世紀にかけての土器から東海(愛知)や近江(滋賀県)とネットワークがあった。
・岡津製塩遺跡の所在は福井県小浜市岡津。古墳時代後期から奈良時代にかけての遺跡、合計9基の製塩炉が検出されている
・小羽山30号墳の所在は福井県福井市小羽町。形式は四隅突出型墳丘墓。
出土した土器から2世紀初頭と考えられている。
北陸地方で最も古い四隅突出型墳丘墓。
・総括:福井において1世紀頃に方形周溝墓が、2世紀初頭に四隅突出型墳丘墓が、2~3世紀代に入ると土器から愛知や滋賀とネットワークがあった。
<参考>
・165.古代東アジアの牛に関する信仰:扶余族、新羅、古志の国など - シン・ニホンシ (hatenablog.com)
福井県
・王山古墳群 – めがねのまちさばえ 鯖江市
・岡津製塩遺跡 | 小浜市公式ホームページ