今回は神奈川県海老名市の秋葉山古墳群、逗子市の長柄桜山古墳群を取り上げる。次の流れで紹介していく。
・秋葉山古墳群(あきばやまこふんぐん)
第一号墳
第ニ号墳
第三号墳
第四号墳
第五号墳
第六号墳
・長柄桜山古墳群(ながえさくらやまこふんぐん)
第一号墳
第ニ号墳
・まとめ
■秋葉山古墳群(あきばやまこふんぐん)
所在は神奈川県海老名市上今泉。
前方後円墳:3基
前方後方墳:1基
方墳:1基
不明:1基
の第1号墳~第6号墳までの計6基から構成される。
弥生時代から古墳時代の過渡期に造られた古墳群とされ特に第3、4号墳は墳丘墓的要素が強い。発掘調査より第3・4号墳→第2号墳→第1・5号墳の順に造られたとされる。
↓は海老名市、秋葉山古墳群
■第一号墳
形式は前方後円墳。
築造は4世紀。
墳長は59m。
出土品は西側のくびれ部から小型で底の丸い柑(かん)とよばれる土器、鉄製の鏃(やじり)が出土した。
■第ニ号墳
形式は前方後円墳。
築造は3世紀末~4世紀初頭。
墳丘の長さは50.5m。
出土品はくびれ部を中心に埴輪状の円筒形土製品、水銀朱(すいぎんしゅ)の付いた片口の鉢などの土器がみられる。
水銀朱は真っ赤な顔料でとむらいの儀式に使われていた。
前方部の南側のくびれ部では焚き火の跡がみつかっている。
■第三号墳
形式は前方後円墳。
築造は3世紀後半(弥生時代から古墳時代の過渡期)とされる。
墳丘の長さは推定51m。
後円部に棺を納めた墓穴が発見され、マツリに使用されたとみられる水銀朱のついた片口鉢や高杯(たかつき)が出土した。
■第四号墳
形式は前方後方墳。
第3号墳と前後して造られたものとみられている。
■第五号墳
形式は方墳。
築造は4世紀中頃。
出土品はまとまった数の土器が西側の浅い溝から発見されている。
■第六号墳
調査されておらず不明とされる。
第3号墳、第4号墳は3世紀後半の築造とされる。
↓古墳マップにて、第1号墳~5号墳までが写真で確認できる
次に長柄桜山古墳群を紹介する。
長柄桜山古墳群は秋葉山古墳群に少し遅れて造営された。葺石、円筒埴輪の存在が確認されており、この特徴は秋葉山古墳群にはみられない。このためヤマト王権との結びつきは長柄桜山古墳群の首長のほうが秋葉山古墳群の首長と比べて高く、またのその地位も高かったと考えられている。
■長柄桜山古墳群(ながえさくらやまこふんぐん)
所在地は神奈川県逗子市桜山、三浦郡葉山町長柄の境界にある。
2基の前方後円墳で構成される古墳群。
1号墳は全長90mで神奈川県内では最大となる規模。
2号墳は全長88m。
1号墳、2号墳とも丘陵の尾根の小さなピークの部分に築造されている。第1号墳の墳頂部は標高127.3m。第2号墳は標高101.5m。
■第1号墳
形式は前方後円墳。
大きさは全長90m。
築造は4世紀。
墳丘に葺石は用いられていない。
出土品は土器、壺形埴輪と円筒埴輪とされる。
■第2号墳
形式は前方後円墳。
大きさは全長88m。
築造は4世紀。
墳丘に葺石が用いられている。
出土品は1号墳と同じく土器、壺形埴輪と円筒埴輪とされる。
■まとめ
秋葉山古墳群
・所在は神奈川県海老名市
・第3・4号墳→第2号墳→第1・5号墳の順の築造
・第3、第4号墳とも前方後円墳、3世紀後半頃の築造
・第5号墳は4世紀中頃の築造
・よって3世紀後半頃~4世紀中頃まで古墳が築造されていたエリア
長柄桜山古墳群
・所在は神奈川県逗子市桜山、三浦郡葉山町長柄の境界
・第1号墳、第2号墳とも前方後円墳、築造は4世紀
神奈川においても3世紀後半頃からの古墳建造、前方後円墳の特徴が確認できた。また空白の4世紀とされる時代に神奈川における古墳建造が確認ができた。