今回はオキツ、ヘツにまつわる海部氏に関係する籠神社(このじんじゃ)を取り上げる。次の流れで紹介していく。
・イザナギが禊にて身につけたるものを脱いで生まれた神々(前回より再掲)
・邊津鏡、息津鏡
・籠神社(このじんじゃ)
・海部氏系図
・天火明命(あめのほあかりのみこと)
・奥宮 眞名井神社
■イザナギが禊にて身につけたるものを脱いで生まれた神々(前回より再掲)
古事記においては下記12神が生まれている。
1.ツキタツフナトノカミ
2.ミチノナガチハノカミ
3.トキハカシノカミ
4.ワヅラヒノウシノカミ
5.チマタノカミ
6.アキグヒノウシノカミ
7.オキザカルノカミ
8.オキツナギサビコノカミ
9.オキツカヒベラノカミ
10.ヘザカルノカミ
11.ヘツナギサビコノカミ
12.ヘツカヒベラノカミ
日本書紀では上記の「オキ」と「ヘ」に関する6神などが削られている。
前回、古事記においてイザナギの禊の際に生まれた12神を日本書紀と比較、名前に隠されたメッセージがあることを紹介した。
↓は前記事、イザナギが禊の際に脱いだ衣服などから生まれた12神
■邊津鏡、息津鏡
1987年(昭和62年)、海部家に伝わるとされる2つの鏡が公表された。
1つは邊津鏡(へつきょう)。
学術名は内行花文長宜子孫八葉鏡。
前漢時代(紀元前206年~8年)のものとされる。
もう1つは息津鏡(おきつきょう)。
学術名は内行花文昭明鏡。
後漢時代(25年~220年)のものとされる。
この2枚の鏡は海部氏、そして籠神社と関係がある。
↓は籠神社、海部氏伝世鏡の紹介ページ
■籠神社(このじんじゃ)
元伊勢の一社とされ、元伊勢籠神社とも称される。
所在は京都府宮津市字大垣、天橋立付近。
主祭神は
・彦火明命 (ひこほあかりのみこと)
相殿神は
・豊受大神(とようけのおおかみ)
・天照大神(あまてらすおおかみ)
・海神(わたつみのかみ)
・天水分神(あめのみくまりのかみ)
彦火明命(ひこほあかりのみこと) や海神(わたつみのかみ)は社家・海部氏の氏神とされる。
↓googlemap、元伊勢籠神社の所在
■海部氏系図
籠神社の社家、海部氏に伝わる系図。
「籠名神社祝部氏係図」・1巻と「籠名神宮祝部丹波国造海部直等氏之本記」・1巻から成る。
1975年の重要文化財の指定を経て、1976年には国宝指定となった。
始祖の彦火明命から第32世の田雄まで、各世1名の直系子孫のみを記している。
↓はwikipedia、海部氏系図
■天火明命(あめのほあかりのみこと)
古事記、日本書紀の一書では
・天忍穂耳命(アメノオシホミミ)
・高御産巣日神(タカミムスビノカミ、高木神)の娘の万幡豊秋津師比売命(たくはたちぢひめのみこと)の子とされる。
■奥宮 眞名井神社
籠神社の奥宮として眞名井神社(まないじんじゃ)が存在する。
※マナイ神社は島根県松江市山代町、「真名井神社」もある。
古事記では天照大神と須佐之男命が「天の眞名井」で「誓約」を行ったとする記述がある。
磐座主座では
御祭神を豊受大神(とようけおおかみ)
相殿に
・罔象女命(みづはのめのみこと)
・彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)
・神代五代神(かみよいつつよのかみ)
を祀る。
一方磐座西座では
・天照大神
・伊射奈岐大神(いざなぎのおおかみ)
・伊射奈美大神(いざなみのおおかみ)
を祀る。
天の眞名井の水
眞名井神社に天の眞名井の水がある。籠神社の海部家三代目「天村雲命」が神々が使われる「天の眞名井の水」を黄金の鉢に入れて天上より持ち降った御神水とされる。
マナの語源については別途紹介予定。
<参考>
・丹後一宮 元伊勢 籠神社(このじんじゃ) 奥宮 真名井神社(まないじんじゃ) | 京都丹後日本三景天橋立 (motoise.jp)
・海部氏系図 - Wikipedia
・元伊勢 - Wikipedia
・社家 - Wikipedia
・天火明命 - Wikipedia
・真名井神社 - Wikipedia
・太占 - Wikipedia