シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

200.天皇とは何か、理想的な民意の反映システムとはどうあるべきか

天皇とは何か。
天皇という文字が現れたのはいつか
・正式に成立したのはいつか
・過去は何と呼ばれていたか
天皇とは何か
・厳しかった古代の天皇の時代
・今の政治システムの問題
・政治システムを変えていく必要がある
・現状の投票システム
・理想的な投票システム
以上をもとに、古代の天皇を紹介する。

そして天皇は、古代においては真の世界を実現するための代行者、実行者だった。しかし現在は政教分離が進んでおり、それならば、新しい選挙システムによる意思決定者の選出が必要であることを示す。

天皇という文字が現れたのはいつか
飛鳥池工房遺跡から1988年、通称「天皇木簡」が出土している。木簡の中に「天皇」という文字がみられる木簡が出土。遅くても天武朝の時期には天皇が使われ出していた。
↓奈良文化財研究所より

www.nabunken.go.jp

■正式に成立したのはいつか
天皇」号が成立したのは7世紀後半。701年に大宝律令が制定される。そのとき天皇号が法制化された。

■過去は何と呼ばれていたか
天皇は過渡期の時代では天王(てんわう)あるいは天皇(すめらみこと)と呼ばれた。のち現在の「てんのう」と呼ばれていった。天皇という概念が成立する以前はどうだったか。大王(だいおう、おおきみ)やアメタラシ(阿毎垂らし、天治し)と呼ばれていたときもあった。

埼玉県の「稲荷山古墳」出土の金錯銘鉄剣では、ワカタケル大王の文字や「吾左治天下」の文字がみられる。これは「吾(われ)、天下を左治す」の意味と考えられる。

また「隋書倭国伝」では、聖徳太子が「阿毎多利思比孤(あまたりしひこ)」、天の使いとして記されている。「アメ」は、紀元前8世紀頃の高千穂峰の天之御中主、当時の豪族をまとめ朝廷に類似するシステムを築いた人物による王朝の歴史が連綿と続いてきていたことを示すものと思われる。

新唐書日本伝(1060年頃成立)では、日本の王の姓は阿毎氏(あまし)、初主が「天御中主」であったことが記載されている。

天皇とは何か
モノサシの基準が色(シキ、いろ)の自我のためや俗世的な世界の基準ではなく、空(クウ、そら)の、真実の世界における基準で「政(まつりごと)」を行っていくミッションを持って生まれた人物とされる。具体的には人望が篤く、徳の高い、より多くの人の幸せを願って政治などの課題にあたって意思決定できる人。かつて天照、卑弥呼、台与などは正しい意思決定をできる指導者であった。

■厳しかった古代の天皇の時代
血統を重んじる日本人の性格から、血筋がつながっている人を次の天皇(大王)として選んでいた。

その交代についてはどうだったか。他国の中国では民衆の蜂起による「易姓革命」もあった。一方の日本では人徳がないとみるや穏やかではない手段で豪族による血の革命が起きていた節もみられる。また火山などの自然災害、飢饉への対処、対処への失敗による失脚も。さらには天からの情報を担う巫女や語り部への惑わし、道鏡などの知天狗的な人物の中央システムへの介入、さらには天皇の怨霊化などもみられた。醍醐天皇の時代、930年には清涼殿(せいりょうでん)落雷事件も起きた。

■今の政治システムの問題
多数決により選ばれた民衆の代弁者、代表者が、政治を実行すらできないこと。その代表者たちのムラの利害の論理で意思決定がなされていく構造になりやすい点にある。

■政治システムを変えていく必要がある
最高裁判所裁判官の国民審査の思想が選挙制度の理想に暫定的には近いかもしれない。その理由を衆議院参議院の選挙システムに言及したうえで最高裁判所裁判官の国民審査について簡潔ではあるが論じる。

衆議院は、その時々の状況に応じた民意をタイムリーに反映していくシステムといえる。デメリットとしてタイミングによっては良い人であっても芽が出る前に選挙があって落ちてしまうなど大器晩成型の人にとっては結果が出しにくい。

参議院選挙は、長期で政治に取り組んでもらえるシステム。しかし「選出方法」に課題があり、結局は衆議院と同じく人気投票で選んでしまうことになる。

最高裁判所裁判官の国民審査はどうか。一定の期日の任期をふまえ、目立った欠点がある場合にふるい落とすシステムでもある。国民側が代表者を選ぶときにどうすればよいか。選ぶ観点をいくつか持っておく。「政治的実行力」や「人徳」などの評価項目を事前に認識しておけばよいのではないだろうか。

その上での課題がある。民衆側はその人物の事前の情報が少なく、代表としてふさわしい人物を選ぶことができない。そのためには人格者を分野別に選ぶ専門家の団体から推薦形式で候補者を選んでもらう。そしてその絞られた候補者の中から民衆が選んでいくという形式があってもいいのではないだろうか。

■現状の投票システム
・立候補者 ⇒ 投票(民意の反映)⇒ 代表者どうしでの数の論理
・課題:民意が法律や政策におちにくい

■理想的な投票システム
・選ばれた団体による推薦(人格者を選ぶ)⇒ 投票(民意の反映)⇒ 一定期日、評価観点による評価 ⇒ 国民の意志を反映、良い政治家が残る

<参考>
153.隋書倭国伝:阿毎多利思比孤、倭国へのルート、秦王国とは - シン・ニホンシ
・大王から天皇へ 熊谷公男
天皇号の成立年代:
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2159&file_id=26&file_no=1