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199.金の多彩なアクセサリーと螺旋状の髪飾り~新沢千塚126号墳~

新沢千塚古墳群は伝説の日本建国の地、奈良県橿原市(かしはらし)に位置する。橿原神宮とは車のルートで2.8kmほどの距離。本記事では「新沢千塚126号墳」を取り上げ、出土されているアクセサリーなどを下記のとおりで紹介していく。
・新沢千塚古墳群とは
・新沢千塚126号墳
・埋葬者
・火熨斗(ひのし)、アイロン
・ガラス製の碗と皿
・髪飾り
・耳飾
・帯金具
・当時の日本と新羅の関係

■新沢千塚古墳群とは
奈良県橿原市北越智町・川西町に位置する。奈良盆地南部の越智岡丘陵上に約590基からなる古墳群。

■新沢千塚126号墳
126号墳は新沢千塚古墳群のうちの一基。5世紀後半とされる。その出土品は国の重要文化財に指定されている。
参考①:橿原市HPより 副葬品の出土の画像あり↓

www.city.kashihara.nara.jp

参考②:e国宝より、出土品の画像あり、ページ送りすると、詳細画像あり↓
e国宝 - 新沢千塚126号墳出土品

■埋葬者
不明。「アクセサリーの考古学/高田貫太」によれば、金銀の多彩なアクセサリーをまとっていた。冠飾りの「龍文透彫方形板」、耳飾り、帯金具、髪飾り、首飾り、腕輪、指輪など。後述の通りで新羅の王族または貴族、高位の高官と考えられている。

以下で出土品を紹介する。

■火熨斗(ひのし)、アイロン
火熨斗が出土されている。炭を入れアイロンとして使用。青銅製である。
wikipediaの「アイロン」のページ内にて126号墳出土のアイロンの画像の掲載があり↓
アイロン - Wikipedia

■ガラス製の碗と皿
碗が皿に乗った状態で出土。ペルシャ地方(イラン、イラク)からもたらされたとされる。ガラス皿はローマ帝国領内で出土したローマ・ガラスとほぼ一致することが東京理科大学による分析で判明しており製造はローマ帝国となる。
wikipedia「新沢千塚古墳群」のページ内、126号墳その他出土品 の画像にてローマングラスを確認できる↓
新沢千塚古墳群 - Wikipedia

■髪飾り
らせん状の垂れ飾りになっている。

■耳飾
櫛のような三叉状の垂飾りと、中間にそれをつなぐコイル状の飾りがみられる。これが新羅の冠につく垂飾りで頻出する。

■帯金具
金製。四つの草葉文を透かし彫りにした方形板と心葉形の垂飾りが組みあわさったバックルになっている。

■当時の日本と新羅の関係
新羅と密接な関係があった。例えば新羅の第17代王、奈勿尼師今(なもつ にしきん・在位356年 - 402年)は第三王子の未斯欣(みしきん、ミサフン)を日本に人質として送った。日本書紀では「微叱己知」に比定されている人物。新沢千塚126号墳は5世紀後半(400年代後半)なので時期的に未斯欣ではないのだが、日本と新羅は関係を持っていた。その装飾物から埋葬者は新羅の王族または有力な貴族、あるいは高位の高官と推定されている。
参考:新羅のローマ文化の影響、ローマングラスについては過去記事も参考として頂きたい↓

shinnihon.hatenablog.com

■感想
個人的にらせん状(コイル状)の髪飾りに注目している。ペイオトを模したアクセサリーではと推測している。

<参考>
・アクセサリーの考古学 倭と古代朝鮮の交渉史/高田貫太
橿原神宮について – 橿原神宮
新沢千塚古墳群 - Wikipedia
e国宝 - 新沢千塚126号墳出土品
アイロン - Wikipedia

橿原市 - Wikipedia
・三燕金属製装身具の研究・大谷郁恵

https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6458&item_no=1&attribute_id=26&file_no=1
未斯欣 - Wikipedia