シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

381.香川・善通寺市の王墓山古墳から出土した金銅製冠帽

前回、出雲の上塩冶築山古墳、十字の冠を紹介。香川・善通寺市の王墓山古墳(おうはかやまこふん)からも金銅製冠帽が出土、十字のデザインがみられる。次の流れで紹介していく。

・王墓山古墳(おうはかやまこふん)
・金銅製冠帽(こんどうせいかんぼう)について
・有岡古墳群(ありおかこふんぐん)
・野田院古墳
・磨臼山古墳(すりうやまこふん)
・鶴が峰4号墳
・丸山古墳
空海(くうかい)

■王墓山古墳(おうはかやまこふん)

所在は香川県善通寺市善通寺町。
形式は前方後円墳
有岡古墳群の1つ。
築造は6世紀前半。
形状は全長46m。

埋葬は両袖式横穴式石室。
内部に石屋形がある。
石屋形とは板石を組み合わせてつくられた遺体の安置施設である。
当地域に石屋形があるのはめずらしいとされる。

出土品に

装身具類に
・金銅製冠帽:1
・金環:1組
・銀環 4組
ほか多数

武器・武具に
・挂甲 1(小札が約200)
・銀装鍔付鉄刀:1
・銀象嵌入鉄刀:1
ほか多数

ほか、馬具、農工具類、土器など豊富に出土している。

↓はgooglemap、香川県善通寺市の王墓山古墳

maps.app.goo.gl

↓は善通寺市デジタルミュージアム、王墓山古墳

www.city.zentsuji.kagawa.jp

善通寺市のページから王墓山古墳、のちに紹介する野田院古墳、宮が尾古墳のパノラマビューが見える

www.city.zentsuji.kagawa.jp

■金銅製冠帽(こんどうせいかんぼう)について

金銅製冠帽の復元模型は十字の形をしている。
ただしメノラーから枝の数が減り、やや十字がかっているような形。
↓は空海NAVI、王墓山古墳、古墳の上からの様子や出土した金銅製冠帽が確認できる

www.kukainavi.com

王墓山古墳が属する有岡古墳群とは。

■有岡古墳群(ありおかこふんぐん)

善通寺市では大小400基の古墳が確認されている。

有岡古墳群は弘田川流域の有岡地区に分布する。

うち、6基が国指定史跡となっている。
野田院古墳、王墓山古墳、宮が尾古墳、磨白山古墳、丸山古墳、鶴が峰4号墳である。

古墳時代の前期から後期にかけての首長墓と考えられている。

同じ系図によるものと考えられているという。

空海弘法大師、生没年774年~835年)の祖先ともいわれる豪族の墓群ではないかとされる。

古墳の築造順は
・野田院古墳:3世紀後半
・磨臼山古墳:4世紀後半
・鶴が峰4号墳:5世紀前半
・丸山古墳:5世紀中葉
・王墓山古墳:6世紀前半
・宮が尾古墳:7世紀初頭

とされる。
↓は善通寺市、有岡古墳群

www.city.zentsuji.kagawa.jp

続いて野田院古墳、磨臼山古墳、鶴が峰4号墳、丸山古墳、宮が尾古墳を紹介。

■野田院古墳

所在は香川県善通寺市善通寺町。
大麻山(おおさやま)の山腹の標高405mにある。
築造は3世紀後半。
大きさは全長44.5m。
形式は前方後円墳
墳丘には葺石はあるが、埴輪は見つかっていない。

後円部の中央に竪穴式石室が2基存在。

後円部は石だけを積みあげた「積石塚」。
おおきさは直径21m×高さ約2m。

古墳から出土した遺物に
・ガラス玉
・鉄剣
・土師器(はじき)
などがみられるという。
↓は善幸寺市デジタルミュージアム、野田院古墳

www.city.zentsuji.kagawa.jp

↓は善通寺市観光協会サイト、出土しているガラス製小玉と碧玉製管玉の画像が確認できる

www.kukainavi.com

■磨臼山古墳(すりうやまこふん)
所在は香川県善通寺市生野町
標高119mに位置。
形状は前方後円墳
大きさは墳丘長49.2m。
築造時期は4世紀後半。
埴輪が出土している。
埋葬は主体部に刳抜式割竹形石棺がみられる。
石材は香川県国分寺町鷲ノ山産。
石棺内部は朱が詰められていたとされる。
盗掘を受けて副葬品が失われている。

石枕がみられる。
磨臼山古墳の石棺は美しく、石工の加工技術の高さを窺い知ることができるという。
平成5年時点で香川県において13個の石棺がみられるという。
そのほとんどに造りつけの枕がみられるという。

↓は文化遺産オンライン、磨臼山古墳の割竹形石棺

bunka.nii.ac.jp

↓は古墳マップ・磨臼山古墳、石棺の様子などを写真で確認できる

kofun.info

■鶴が峰4号墳
所在は香川県善通寺市生野町
大きさは全長26m。
形式は前方後円墳
築造は5世紀前半頃。
盗掘にあっている。
しかし石室から玉類が出土した記録が残っているという。
↓はgooglemap、鶴が峰4号墳

maps.app.goo.gl

↓は善幸寺市デジタルミュージアム、鶴が峰4号墳

www.city.zentsuji.kagawa.jp

■丸山古墳
所在は香川県善通寺町。
形式は前方後円墳
大きさは全長54m。
築造は5世紀中ごろ。
↓はgooglemap、丸山古墳

maps.app.goo.gl

■宮が尾古墳
大きさは直径約20m
形式は円
周溝がある。
築造は6世紀後半。

出土品に
・耳環
・刀子
・須恵器
などがある。

埋葬は両袖式横穴式石室。

古墳の壁面には線刻画が描かれており、装飾古墳であるという。
・羨道(玄室に入る通路):武人が2体
・玄室(棺を納める部屋)の奥の壁:人物群、馬に乗った人物、船団など
が克明に線刻されているという。

また、石室内から寛永通宝なども出土、江戸時代に博打場として利用されていた形跡がみられるという。

↓はgooglemap、宮が尾古墳

maps.app.goo.gl

↓は善幸寺市デジタルミュージアム、宮が尾古墳

www.city.zentsuji.kagawa.jp

空海(くうかい)
真言宗の開祖。
生没年は774年~835年。
出身地は讃岐国多度郡屏風浦、現在の香川県善通寺市であるとされる。
諡号弘法大師(こうぼうだいし)

俗名は佐伯 眞魚(さえきのまお)
読み方にはマオのほか、マイオ、マナ説がある。

遣唐使の長期留学僧として唐に渡った。

<参考>
空海 - Wikipedia