シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

73.サラリーマンの納税制度の仕組みと消費税と法人税のトレードオフ

日々働く企業戦士、サラリーマン。資本主義国家ではたいていの人は民間企業で働く。国家はどのように税を徴収しているのか。歴史を振り返りつつ、納税の仕組みや資産形成方法を理解する。次の流れで紹介していく。

・過去の権力の所在の変遷
・過去の支配構造
・現代の支配構造
・現代の徴税の仕組み
・直接税と間接税
累進課税
・所得控除対象
・リスクテイクできる人
・間接税「消費税」の導入
・消費税増税への説明のしかた
・税金の使い道への得体のしれない気持ち悪さ

■過去の権力の所在の変遷
現代は国民主権というが、あまり実感はできないのではないがろうか。
権力の所在を歴史的に振り返る。
古墳時代は大王。
ヤマト政権では天皇
室町時代鎌倉時代は幕府。
明治大正時代は再び天皇
そして昭和戦前は帝国軍。
そして敗戦後は国民が主権を持つに至った。
それは、その時代時代で、時の勇者たちが戦って権利を勝ち取ってきたものでもある。

■過去の支配構造
過去「サラリーマン」なる職業はなかった。
代わりに「農民」や「武士」がいた。

封建制のもとでは
・幕府と御家人の間の「主従関係」
御家人と農民の間の「支配」と「年貢、労役」
という関係性が成り立っていた。
鎌倉時代~江戸時代まではこの体制が続いた。
明治維新までは「日本国」という概念が薄かったが、社会全体への奉仕はあった。
例えば古墳の建築であったり、寺社仏閣、城などの公共事業、そして兵役などであろうか。
特に、元寇の危機到来時は全国から武士が集まって防衛を行った。
明治以降~昭和敗戦前までは立憲君主制のもと、主権は天皇にあった。
天皇、政府・行政、一般市民という構造をとった。
天皇の元、国のためにまとまる求心力を持っていた。
江戸末期~明治初期では国を思う志士たちが捨て身となり、外国からの脅威に立ち向かい、革命を成し遂げた。

■現代の支配構造
現代では企業という「法人格」をつくり、法人によって経済活動を行う。
政府 ⇒ 行政・地方自治体 ⇒ 企業 ⇒ 一般市民
のルートで「法律」を通じて国や都道府県は企業をコントロールする。

■現代の徴税の仕組み
一般市民からどのように徴税を行うか。
どの時代も農民や市民は税金に苦しんできた。
重税への苦しみは不満となり、民衆の蜂起や革命につながった。
行政としては、いかに意識させずに税金を徴収するかが手腕の見せどころだ。
現代では「源泉徴収」を行って税金を徴収する。
煩わしい納税申告を企業が代行する。
企業は従業員の代わりに、税金額を計算、給与から天引きし、国や自治体に税金を納める。

■直接税と間接税
税金には「直接税」と「間接税」がある。
直接税は「所得税」や「住民税」、間接税は、消費税や酒税、たばこ税などがある。
ものを買ったり、嗜好品を楽しんだりといったものに課税をしている。

累進課税
サラリーマンには「累進課税」が適用される。
所得の基準に応じて異なる税率が適用される。
所得の基準(額)は「所得控除」で下げることができる。
一部は「年末調整」や「確定申告」で取り戻すことができる。

■所得控除対象
所得控除対象となる保険、企業年金、住宅ローンなどにより、課税対象の所得を減らすことが人生100年時代のサラリーマンライフを賢く生きるポイントである。
若いうちなら失敗もできリカバリーがきく。
早めに資産形成に着手し、退職までに老後資金を蓄えるかが重要だ。
ideco」や「積み立てNISA」の活用はおススメだ。
給与天引きされるため、もらった分だけ使ってしまう浪費グセのある人にも貯めやすい。

現代サラリーマンに必須のスキルは、業務のスキルのほか、ファイナンシャルリテラシーも必要な時代だ。
このリテラシーが高ければ、高リスクではあるがリターンの大きい商品にも手を出せる。
リテラシーは攻めでもあり、守りでもある。

■リスクテイクできる人
株式投資や、不動産投資も考えられる。
株式では、
・金融リテラシーの高さ
・ポジションの見極め
ロスカット
を上手に行うことがポイントとなる。

特に「株価が上がった際にホールドし続けられるか」、我慢比べをできるかが重要である。
株式は「ゼロサムゲーム」、誰かが損をすることで自分が儲かるのだ。
20%くらいあがって売るようであれば、何度か経験する損失のちょっとした補填にしかならないだろう。

ポジションが正しい時にいかに持ち続けられるか。
買うタイミングよりも、売り時のほうが難しい。
不動産投資では複数の不動産を購入、得られた利益を再投資しつつ、いかにレバレッジを効かせ、譲渡益を先に繰り延べしていくかがポイントとなる。
なかなか度胸がいる投資である。

■間接税「消費税」の導入
消費税は取りやすい消費者からとるようにした税である。
税収が増えることで国がコントロールできる省庁や権益が多くなることも導入された理由かもしれない。
また法人に甘い顔をするための財源に活用された可能性がある。
消費税の税収と、法人税の減税額がほぼ一致する。
また、次のサイトの「法人税率の国際比較(1980~2015)」を確認いただきたい。
各国の法人税率に追随して日本も税率を下げていることがわかる。
企業への配慮でもあるし、国際競争、租税回避の対策でもある。
下げた分は財源が必要である。
1989年に導入(3%)、1997(5%)、2014(8%)、2019(8%または10%)と改訂してきた。
法人税率の下げたタイミングと消費税を上げるタイミングが似ている。
これは決して偶然ではない。

venture-finance.jp

■消費税増税への説明のしかた
消費税への反対をどう対処するのだろうか。
それも上手な説明の仕方をしている。
簿記のバランスシートを覚えているだろうか。
会社の財産の状態をあらわす表だ。
「資産」「負債」「資本」の要素のうち「負債」を強調して伝えている。
赤字でお金が必要といえば納得はできなくても、許してはくれるだろうという期待なのかもしれない。
その負債=赤字にはカラクリがある。
使い道が増えれば負債≒国債を発行するため、毎年増え続ける。
つまり借金が膨らむ性質がある。
だから借金が膨らむという言葉はほぼ正しい。

しかし、実際は負債だけが増えるのではなく資産も増える。
また単独決算ではなく、連結決算が必要だ。
政府単独ではなく、日銀の資産を連結すれば違った見方になるという。

■税金の使い道への得体のしれない気持ち悪さ
そもそも何のために汗水たらして働くのか、誰のために働くのか。
税金を国や地方自治体がうまく利用して、暮らしが豊かになったり、出産・育児や、病気、シニアの方の配慮など、弱者にやさしい街づくり、国づくりをしてもらえれば問題ない。

でも、正しく使ってもらっていない、得体のしれない気持ち悪さがある。
それは、税金を勝手に増やされたりするからかもしれない。
また税金の収支を公開・説明されてもいまいちピンとこないからかもしれない。

このあたりの改善にはグラスノスチ的なものが必要だ。
情報公開が不透明、ゆがんでいる(意図的にゆがめている)せいなのかもしれない。

以上、納税制度の仕組み、そして消費税と法人税トレードオフの関係について記した。

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<参考>
・日本は世界1位の政府資産大国 高橋 洋一 
累進課税制度とは?税率計算や対象となる所得税等の税金について解説 | マネーフォワード クラウド
横須賀民主商工会ー消費税増税許さない 消費税って?ー
統合政府は540兆円の「債務超過」(アーカイブ記事) | アゴラ 言論プラットフォーム