シン・ニホンシ

日本の歴史を新しい視点でとらえ、検証し、新しい未来を考える

128.邪馬台国:卑弥呼、台与、大日之命、日本武尊、弟橘媛たち

前記事で九州南部の高千穂峰の王国を紹介。天照という女王が出て当時の日本の国民性が大きく変わっていった。「大和心」として呼ばれるその性質は女性のおおらかさ、繊細さ、穏やかさ、優雅さ、美しさの心根を表現する言葉である。今回は九州北部に卑弥呼が誕生。次の流れで紹介していく。
・高千穂国のその後
邪馬台国
・日向が生まれた場所と時代
・日向の家族構成
・日向が行った政治の特徴
・台与(とよ)
・天駆之命、日本武尊弟橘媛
弟橘媛の入水

■高千穂国のその後
天之御中主の神や天照大神によって当時一大勢力を築いた「高千穂国」は、卑弥呼の時代には既に弱小国となっていました。

邪馬台国
九州、有明海を臨む、阿蘇山の見える地域に、大和国(やまとのくに)と呼ばれる、九州の三十余国を従える共和制のような国々の連合国が存在していました。邪馬台国で知られる国です。大和国は大陸とも近いため国が乱れることが多く、人々はその影響におびえながら暮らしていました。この国が後に発展し「大和朝廷」となっていきます。

■日向が生まれた場所と時代
卑弥呼は当時、日向(ひむか)と呼ばれていました。日向は邪馬台国に生まれます。38歳、247年に死去したとされています。209年頃~247年頃の人物と考えられます。

■日向の家族構成
日向の父は「山高之命(やたがしのみこと)」、母は「桃日(ももひ)」です。日向が生まれたのは父が36歳、母が23歳の時です。また、3歳年下の弟、「大日之命(おおひのみこと)」がいました。当時、血統ということが重んじられていたため血族結婚も多かったようです。日向の夫は事実上、弟の大日之命でした。二人の間には子供はいませんでした。

■日向が行った政治の特徴
日向の政治の特徴は3つありました。1つは天上界よりメッセージ(神示)を受け、それに基づいて政(まつりごと)を行ったこと。当時の大和国の主催神は過去に九州に生まれ高天原にいた天照大神でした。2つめは政治に女性を数多く登用しました。3つめに春と秋に祭りを開始しました。

■台与(とよ)
台与はや日向と同じ大和国(やまとこく)に生まれた日向の姪です。台与の父は日向の兄です。日向自身には子供はいませんでした。大和国は血縁を重んじる国でしたので、日向は姪の台与を宗女としました。台与は12歳のときに巫女修行を開始し、13歳のとき女王となりました。日向が亡くなり、いったん日向の弟の大日之命が後を継いだようです。しかし力をもった武将たちが暴れ出します。そこで神のメッセージを聞ける台与が上に立ち武将たちに「国民(くにたみ)たちが幸せになるために、力を貸して欲しい」と呼びかけました。女王を支えるため、国がまとまり、治まっていきました。

■天駆之命、日本武尊弟橘媛
日向が38歳に死去した後、弟の大日之命が迎えた正妻が子を授かります。名は天駆之命(あまはしりのみこと)です。「景行天皇」として記録に残る方です。この天駆之命の子供が日本武尊(やまとたけるのみこと)です。日本武尊の妻は弟橘媛(おとたちばなひめ)です。建忍山垂根(たけおしやまたりね、別名:忍山宿禰)の娘です。弟橘媛も生まれは九州地方です。なお「神武天皇」は実在の人物ではありません。天之御中主の生き様や、日本武尊須佐之男命の人格、出来事などがいくつか合わさった形で神話化して伝えているようです。

日本武尊の東征
台与の時代からしばらくして大和国邪馬台国)が衰退し始めた頃、日本武尊が活躍します。東征を行ったり、九州の平定がまだであった部族を平定したりし、新しい大和朝廷の基礎づくりを行っていきます。3世紀の終わり頃から4世紀の初めにかけての頃にあたります。なお大和朝廷が完成するのはこの100~200年後です。日本武尊は民を連れ、九州から中国地方へ渡ります。中国地方の山口県付近に上陸します。そこで出雲の勢力である大国主之命たちと合流します。大国主たちが日本武尊の東征を協力したのです。大国主も日本人として生まれています。そして瀬戸内海、海路も使いながら四国、淡路の国へ渡り、大和(奈良)を攻め上りました。また紀の国へも行きました。

弟橘媛の入水
さらに関東地方の東国へ遠征も行いました。走水の海(はしりみずのうみ、現在の浦賀水道)で急きょ暴風に遭います。日本武尊たちに悪意を持つ者たちの霊が嵐を呼び起こしました。そして船が難破しそうになったときのこと。弟橘媛は自らが犠牲となって海神の怒りを鎮めようと海に身を投じました。弟橘媛の夫を救いたいという祈り、無私なる思いが通じ、不思議と波風が治まりまったのです。天候を操る自然霊、神たちに祈りが届いたのです。古事記や日本書記の八百万の神々、火の神、川の神、山の神といった存在は、自然をつかさどる神霊の存在を知らせています。