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260.古代の地名①:印旛と五百磐(いんばといおき)にまつわる多数の旗

過去記事にて千葉県印旛郡の地名「印旛(いんば)」はかつて「いにわ」と呼ばれていたことを紹介した。今回は「いにわ」と同語と考えられる「いおきべ」にまつわる話を取り上げる。下記の流れにて紹介していく。

印旛郡(いんばぐん)
・五百磐(いにわ)
・五百旗頭(いおきべ)
・伊福部(いおきべ、いふくべ 、いふきべ)
高知県応神天皇のつながり 
・伊尾木川(いおきがわ)
奈半利川(なはりがわ)
五百木之入日子命(イホキノイリヒコ)
・まとめ
 
印旛郡(いんばぐん)
過去記事で紹介した「龍造寺古墳群」は千葉県印旛郡に所在。
印旛郡は千葉県(下総国)の郡である。
かつての下総国(しもうさのくに、しもふさのくに)の千葉県の北部に該当し、酒々井町(しすいまち)と栄町(さかえまち)の2つの町から成っていた。

「印旛」はかつて「いにわ」と呼ばれていた。
先代旧事本紀」の「国造本紀」にて応神朝において伊都許利命が国造に任じたとされる。
印旛郡に属する龍角寺古墳群を紹介した回

shinnihon.hatenablog.com

↓印旛国造の伊都許利命を紹介した回

shinnihon.hatenablog.com

■五百磐(いにわ)
印旛(いんば、いにわ)とはなんだろうか。
印旛の「旛」は威徳(いとく、威厳と人徳)を標示する旗を意味する。
よって「印旛」は威徳を示す旗の印という意味である。

 印旛の同音に「五百磐(いにわ)」がある。
「五百」は「いお」で、数が多いことの例えである。

 ■五百旗頭(いおきべ)
五百磐(いにわ)に関連し五百旗頭(いおきべ)という苗字がある。
同じく「旗」が入る。
またこの苗字は由来がわかっている苗字である。
「いおきべ」はその先祖が数百もの兵を統率する旗頭(はたがしら)だったことに由来する名字とされる。
五百旗頭(いおきべ)とは「イオキ部」からの転化だと考えられる。

これらの言葉の関係性を示すと次のようになる。
・印旛(いにわ)→ のちに 印旛(いんば)に転じた
・印旛 = たくさんの旗
・印旛 (いにわ)= 五百磐(いにわ)
・五百磐 = 五百旗頭(いおきべ)

■伊福部(いおきべ、いふくべ 、いふきべ)
「いおきべ」には「五百旗頭」のほか「伊福部」なども存在する。
伊福部は古代の職業部、かつ部民の名称である。
全国に広く分布する。
東は陸奥国武蔵国遠江国尾張国から、西は薩摩国まで広く分布。
特に美濃国を中心としており美濃国本巣郡山県郡(大宝2年の戸籍による)のほか、因幡国出雲国安芸国などの中国地方に広く分布する。

高知県応神天皇のつながり
高知県応神天皇を主催神とする神社が存在する。
例えば
・神峯神社(こうのみねじんじゃ)
・御田八幡宮(おんだはちまんぐう)
などである。
創祀の年代は不詳ではあるがその背景には応神とその土地とのゆかりがあると考えられる。
wikipedia、神峯神社

ja.wikipedia.org
wikipedia、御田八幡宮

ja.wikipedia.org

■伊尾木川(いおきがわ)
その高知県に「いおき」とゆかりのある川がある。
高知県の東部の安芸市に「伊尾木川(いおきがわ)」という川がある。
高知県は古代に活躍した蘇我氏物部氏の一族が移住した地域のひとつと考えられる。

その理由としては
・長曾我部元親は蘇我氏の子孫であることがわかっている
 ※書籍「秦氏の夢 長宗我部元親」十七代当主 長宗我部友親 より 
高知県香美市には物部川などがある
高知県西部には幡多郡が存在

よって高知県の西部、東部とも「いおき」や「旗」につながりがある地域がみられる。
過去記事にて、高知県幡や旗との関係を示した回

shinnihon.hatenablog.com

奈半利川(なはりがわ)
伊尾木川と同じ高知県安芸郡は「奈半利町」と「奈半利川」が存在する。
アラビア語で「川」を「ナフル」という。
ヘブライでは川「ナハル」「ナーハール」「ナーバール」等とされる。

五百木之入日子命(イホキノイリヒコ)
「いおき」の名前が残る皇族に五百木之入日子命がいる。
五百木之入日子命古事記に登場する人物。
日本書紀では五百城入彦皇子(いおきいりびこのみこ)
父は第12代・景行天皇
母は八坂入媛命(やさかいりびめのみこと)。

イホキノイリヒコの兄弟には
・第13代成務天皇(同母の兄)
ヤマトタケル(異母兄弟)
がいる。

■まとめ
・印旛(いんば)は古くは「いにわ」と読まれていた
・「いにわ」には印旛、五百磐などがみられる
・印旛の「旗」の意味から「印旛」「五百旗頭」「伊福部」は同じ語源と考えられる
高知県応神天皇とのつながりがみられる
高知県蘇我氏物部氏の一族との関係がみられる
高知県に伊尾木川(いおきがわ)、奈半利川(なはりがわ)が存在する
アラビア語で「川」は「ナフル」、ヘブライでは川「ナハル」「ナーハール」「ナーバール」など
・「いおき」の入る皇族に五百木之入日子命(イホキノイリヒコ)がいる


<参考>
印旛郡 - Wikipedia
印波国造 - Wikipedia
伊福部 - Wikipedia
五百城入彦皇子 - Wikipedia
八坂入媛命 - Wikipedia

景行天皇 - Wikipedia
幡多郡 - Wikipedia